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アーシス 〜the Guardians〜
現れる獣
「ちょっと、鈴どうしたの!?もう、イリス追うわよ!」

突然走り出した鈴を追い、彼女たちも走り出した。そして、木々の間を抜けた所の広場のような場所で、地面に屈んで何かを確かめている鈴に追い付いた。

「イリス、これどう思う?」

追い付いたばかりのイリスに、彼を自分の見ていた物を見せた。

「オルトロスの足跡と、その食べ残し」

それを聞くと、鈴はライフルをコートにしまい、代わりに刀を取り出してベルトの間に差す。

「ねぇ、これがさっきイリスが言っていた“血の匂い”の正体なの?」

コートから自分の武器である薙刀を抜いた沙夜が、足元にあるバラバラになった動物の死骸を見る。

「うん、これ…」

「それじゃ、この近くにオルトロスたちがいるってことか」

「総一郎さんに連絡したんだけど、あっちの方はオルトロスと戦ったって…ねぇ鈴、報告以上に数が多いみたいよ」

それを聞くと、鈴は総一郎と話せるか沙夜に尋ねる。沙夜は、彼に互いに連絡をするためのレシーバーを渡した。

「総一郎さん、大丈夫ですか?」

『あぁ、大丈夫。それより、報告よりも数が多いみたいだ。そっちは、食べ残しと足跡を見つけたようだね』

「はい、食べ残しはまだそんなに時間が経っていないので、今なら追い付けると思います」

『それなら、逃がさないように頼むよ』

鈴は、総一郎に目標を見つけ次第殲滅するように指示を受けると、レシーバーを沙夜に返す。

「沙夜、奴らはまだ近くにいるのか?」

沙夜は、オルトロスたちがまだ自分たちの近辺にいるのか調べるため、索敵魔法を使った。

しかし、

「ねぇ、それらしい姿が無いんだけど…」

そう言って、自分の前にある魔法陣を見せる。そこには、彼らを中心とした周囲のホログラム映像が浮かび上がっている。だが、肝心のオルトロスの姿は全く映っていなかった。

鈴が自分も索敵魔法を使い、沙夜よりも広い範囲を探るが、やはり現れた周囲の様子には木しか映らなかった。

「鈴、どういうこと?」

「イリス、お前の耳には何か聞こえないか?」

イリスは、目を閉じて辺りの音を聞いた。そして、目を開けた瞬間自分の腰にある二振りの短剣を抜く。

「どうしたの、イリス?」

「囲まれてる」

イリスの言葉に、鈴と沙夜が広場の周囲を見回すが、そこにあるのは木ばかりでそれ以外は何も見えない。しかし、突如木々の間から遠吠えが聞こえ、そこから夜闇を思わすような漆黒の毛に覆われた双頭の黒犬が次々と、姿をあらわにした。

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