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アーシス 〜the Guardians〜
連絡
「そうですけど…父さんを知っているんですか?10年くらい前に行方不明になっているんですけど」

鈴の返答に、藍香は「やっぱり、息子だったのね」と呟く。

「実は君のお父さん、レイ・エルギンさんはアーシスの育成施設で私や総一郎に、一時期戦い方を教えてくれた人なのよ」

「そうなんですか!?」

鈴は藍香の言葉を聞いた瞬間、驚きで声を上げる。その大袈裟な反応に彼女が、クスクスと笑った。

「もしかして、エルギンさんがアーシスってことも知らない?」

「全く知りません。母さんに聞いても、詳しく教えてくれませんから」

「それなら、暇潰しにエルギンさんについて、私の知ってることなら教えてあげるわ」

そう言って、彼女は話だそうとしたが途端、鈴の携帯電話からうるさい着信音が病室に響き渡った。

その発信者は静音だった。緊急の連絡以外を、メールで済ませる静音が電話を使っていたので、彼は急いで通話ボタンを押す。

「鈴、今どこだ?」

「まだ病院ですけど、いきなりどうしたんですか?」

「緊急の任務だ。詳しいことは、市役所の方で教えるから早く戻って来い!」

静音はそれだけ言って、一方的に電話を切った。

「緊急のことでしょ。早く行ったらどう?」

「すみません。今度、見舞いに来ますからその時に父さんのこと、教えて下さい」

そう言うと、彼は急いで病室を飛び出して行った。鈴がいなくなり、再び自分だけになった藍香は窓から外の様子を眺めながら、

「私も早く復帰しないといけないわね」

と言った。



市役所に戻った鈴は、建物の中に入るなり様子が違うことに気付く。

いつもなら、休日のために人がほとんどいないはずが、今は平日と同じくらいの職員がそれも忙しく動いていた。よく見ると、職員以外にも自分の腕に新聞社の腕章をしたカメラマンもいる。

「一体、どうしたんだ?」

「さあ、どうしたんだろうね?」

鈴は、自分と同じことを言う声を聞いた瞬間、後ろを振り返った。すると、いつの間にか彼の背後に若い男が立っていた。

「総一郎さん、任務終わったんですか?」

「今日の明け方にね。さっき帰って来たばかりなんだけど、家に入るなり課長からの電話で呼び出されて、駆け付けたんだよ」

鈴に総一郎と呼ばれた男は、愚痴をこぼすと眠いのかあくびをする。



彼は、古田総一郎(ふるたそういちろう)。この街の魔導対策課に所属する、藍香と同い年のアーシスである。



2人は、互いに「取り敢えず、対策課に行こう」と言って3階の部屋に向かった。そして、部屋のドアを開けるなり市の助役が静音に、相談している姿に出くわした。

「とにかく、頼みますよ!もし、あれが住宅地に現れたら多大な被害は、避けられませんから」

「分かりました。椿山にも応援を要請して、さっさと片付けますよ」

それを聞いて、安心したのか助役は部屋から出て行った。

「総一郎、鈴来てくれたか」

「それで静音、この騒ぎは一体何だい?助役までここに来ていたけど」

「あぁ、実はとんでもない奴が現れてな」

静音は、パソコンを使う時に掛けている眼鏡を外すと一言、

「ケルベロスとオルトロスだ」

と言った。

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あきゅろす。
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