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守護の鬼〜strange bloods〜
帰還...
「...クソッ!どうすりゃあいいんだよ!」

守護棟を建て直そうにもなかなか上手くいかない。
釘打ちのなかなか上手くいかない氷柱は、ちょっとイライラして柱を蹴った。
それが失敗だった。せっかく途中まで建てた守護棟はまた崩れ去ってしまったのだ。

「あぁ〜な、なにしてんの!氷柱ぁ!」

「わわわ、WA、わりぃ!」

「悪いで済むか!」

沙奈のビンタが氷柱の左頬を捉える。

「がはっ...」

氷柱は正気を取り戻すのにしばらくの沈黙を要した。
「重いな...さすが...」

そんな事を何度も繰り返している内に、背後から少しばかり耳から離れていた声が聞こえた。

「ヒャハハハッ...ダッセーの!氷柱!」

「ん...?おぉ!烈火じゃないか!仕事終わったのか?」

烈火(本名:根津烈火(ねづ、れっか)はフードを被っていて、いつもケラケラとふざけた笑みを浮かべている少年だ。氷柱とは同い年で友であり、よきライバルでもある。

「にしてもハデにやられちゃいましたね〜。ニールくん?」

「あまりにも不意打ちだったもんだから対処しようがなかったんだよ!ま、たるんでた事は否定できないけどな!」

ニールにからんでいる人物は夏海蛍(なつみ、けい)。
ニールとは同い年の優秀な守護士である。実力はニールと均衡する程の実力者で、この守護棟の棟長を勤めている。

「....キマ...イラ...?」

「うん、キマイラにやられちゃった...酷いよね...」

「....」が多いこの少女は、美弥(本名:多治見美弥(たじみ、みや)。
この守護棟では最年少。とは言っても氷柱より一つ年下の16だからたいして変わらない。むしろ精神年齢は氷柱より上かもしれない。

「にしても...遅かったな...軽い仕事じゃなかったのか?」

そう、確かこの三人ならば簡単に終わらせられる程度の低級の竜の討伐だった。なら3日もあれば十分だ。なのに一週間以上も留守だった。

「ん?あぁ!そうだそうだ!お前らには感謝してもらわないとな!」

「あ?俺達がお前らに感謝するような事、いつされたよ?」

「...鬼遊...科学...」

ん?美弥...なんだって...?
良く聞気取れなかった氷柱は、ゆっくりと、静かに動く美弥の口元に耳を寄せる。

「...マジっすか!?」

「.....マジ....です」

美弥が言うには、黒川町周辺にある全ての守護棟を彼女ら三人で潰して回って来たから遅くなったらしい。

「仕事先で本部からの連絡で鬼遊科学の奴らが守護棟を標的にした悪事を働いていると聞きましてね...」

「それで、本部に頼まれた俺達が鬼遊科学を潰して来たってワケだ。」

「しかし...キマイラは大丈夫だったの?」

「完璧なキマイラはいなかったぜ?なりそこないみたいなキモいのはいたがな。」

それは、こういう事である。
彼ら鬼遊科学はキマイラの研究をしていた。

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