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守護の鬼〜strange bloods〜
蒼炎...
――*――

邪魔だ...うっとうしい...聴覚、視覚をまるで霧のように遮りって...
ゴオオオ....
炎の燃え盛る音....


うるさい...ただ不快なだけな炎。こんなの奇神の炎じゃねぇ...奇神の炎はもっと熱に芯があるんだよ!
こんなふにゃふにゃな炎、芸術でもなんでもねぇ...。
奇神をもてあそんだあげく、台無しにしちまって...鬼遊科学...てめぇらの芸術とやら、ぶっ壊してやる!!
――**――

「ぬああああぁ!!」

「邪魔!邪魔!!邪魔!!!邪魔だあああぁ!」

氷柱はそう叫びながら、彼の身体に纏わりつく炎を怒りでも込めているかのように振り払った。

「な...なんだコイツ...」

「本当の炎ってヤツを教えてやる...」

氷柱の身体を見ると、あらゆる場所から炎が湧き出てきている。
紅の炎ではなく、蒼い炎が。

状況を確認しよう。この場に立っているのはニール、沙奈、そして鬼遊科学のうちの一人。残りの二人はニールにやられて、後ろの方で倒れてしまっている。

「蒼い炎...貴様...何者だ...?」

鬼遊科学の一人は驚いたような顔をしたが、絶大的な驚きはなかったようだった。

「にしても炎を使える守護士がいるとは.....ふっ...このキマイラの力を試すにはちょうどいい...」

敵はそう言うと、キマイラの肩に飛び乗った。
そしてキマイラに命令する。

「殺れ!」

その言葉と同時に竜の口から紅色の炎が吹き出してくる。
先ほど、氷柱が不快に感じたふにゃふにゃな炎≠ナある。

「こんな炎!」

氷柱は斧に炎を纏わせ、襲いかかる炎を綺麗に両断した。目標を失った炎は氷柱達の脇をかすめてゆく。そして、消滅する炎。

「氷柱!俺と沙奈はお前の援護に回る!あのキマイラはお前に任せたぞ!」

「了解です!ニールさん!」

氷柱は先ほどと同様に風の力で飛び上がった。
そこへキマイラの、氷柱を標的にした炎が、今度は竜と鬼、両方の頭から吹かれる。しかし...

「やはり炎に芯がない...炎に大事なのは芯なんだよ!」

氷柱はその炎に、自分の炎を纏わせた右拳を素手で打ち込んだ。


....ボンッ!
鼓膜を破る程の轟音と共にキマイラの炎は消滅。

「....貴様...何者だ...?」

「さあな!」

氷柱は、相手が問い終わる前に返答し、炎を足に纏わせ、それをブースターとして使い、キマイラの竜の顔面に迫る。
そして、炎の斧を振り下ろした。
斧が肉に食い込む鈍い感覚、完璧な手応え。しかし相手が巨大すぎて、これだけでは倒しきれなかった。


だが、その直後、爆音が響く。
氷柱には援護がある。氷柱が斧を食い込ませた場所へ、寸分狂わず、二人の援護の鎌鼬(かまいたち)が二つ打ち込まれたのだ。
そしてそこへもう一撃、炎の斧。
これが決め手となった。キマイラの竜の首は頭としての機能を失ってしまう。

「....バカな...俺のキマイラが...そんなハズは....」

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あきゅろす。
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