守護の鬼〜strange bloods〜
馬鹿や....
「何?烈火くんはボクに文句あるの?」
「いやいや、文句なんかねぇっすよ。ただ面白くなってきたなってな」
竜と竜、両者は目を合わせた。
烈火の目からは闘争本能とでもとれる光が溢れていた。
同時に、まるで遊園地にでも連れて行ってもらうとでも言われたような楽しみに満ちた目をしている。
「ハッ、全く烈火は単細胞だな。いったいどこのゾウリムシだ」
「あぁ?!んだと氷柱ぁ!闘んのか?!」
「来いよ」
「フフフッ、やるなら表でやってくださいね」
蛍はため息を着いて顔は笑っているが、やれやれ、と両手をひろげた。
それに継ぎ、この場にいる全員が蛍と同じ表情、同じ格好をした。
「あぁ!ついて来いや氷柱!」
「挑むところだ!」
二人はドカドかと大きな音を立てて守護棟から出て行った。
と思ったら外から守護棟全体が揺れてしまう程の爆音が外から響く。
ヤベェ、アイツらマジだ。
全員の意見が一致した。
「あの二人はまったくもってしょうがないんですよね……で、何をするんです?」
額に手を当ててうつ向いている沙奈が呆れ顔で環に訪ねた。
もちろん環に対しての顔ではない。
外へ出て行ったバカ×2に向けてだ。
環は沙奈の質問に、暫く腕を組んで首を捻ったが、
「う〜ん?どう言ったら良いのかなぁ、一回行ってみる?」
バカ丸出しの発言をした。
何か仕事を依頼するのであれば、計画、せめてどんな場所かを確認しておくべきではないのか。
竜や鬼と言うのは全員こうなのか、と守護士全員が感じた。
「この人………バ、モガ」
それを誤って口に出そうとした美弥の口を沙奈が神の領域にも至りそうな勢いで引き止める。
美弥は口を塞がれた、その事によほど驚いたらしくバタバタと手を振って暴れていた。
しかし、それも一瞬ですぐに静かになる。
「ぶっつけ本番と言う事か?さすがは環らしいと言わせて貰おうか」
そこへニールが口を挟む。やはり皆感じている事は同じで、少し頬がひきつっていた。
「いやね?そういうことじゃないんだよ?なんていうか……わかりにくいんだよ。ホラ、入っては郷に従えって言うでしょ?」
環は、手をパタパタと振って照れ隠しをしようと必死だ。
しかし、守護士達の表情は凍り着いた。
言葉の使い方チゲェよ。
「この人…………バカ」
美弥が言ってしまった。
今度は沙奈は止めなかった。その必要がなかった。
沙奈もそう言いたくなるほどだったから。
ニールと蛍も同意のようで焦った表情一つ見せない。
「う……あああぁあん」
環はその仕打ちに耐えきれなくなってしまったようでテーブルに突っ伏して泣き始めてしまった。
「ハァ……ホラッ、環さん、泣かないでください、フフフ」
蛍は満面の笑みを環にぶつけて背中をさすった。
「つまんない」と言われたのが、実はショックだったらしく「ざまあみろ」と言う念を込めての笑みをぶつけていた。
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