守護の鬼〜strange bloods〜
対面...
環は舌を小さく出してかわいらしく問いかける。
「ねえ?じゃないッスよ。」
「え〜……つまんないつまんないつまんな〜い」
「子供か!アンタは」
「えへっ」
「ったく……で…用は何なんです?」
「あ、それは守護棟で」
氷柱はそうか、と納得して辺りを見回す。
烈火は炎を限界値まで暴走させてしまったらしく、先ほど倒れた位置から全く動いていない。
「環さん、運んで下さいよ」
「う〜?わかったわよ。ボクが悪いんだもんね」
環は烈火の肩に手をかけ、烈火の体を背中に背負った。
普通の女性であれば、コレは不可能に等しいかもしれないが、守護士として鍛えられていればコレというほどの事でもない。
「じゃ、行きましょうか」
「りょーかい!」
..................................。
「ういーっす。たらいま〜」
「お帰り……っと?!」
奥から出てきた沙奈は氷柱と共に入って来た環を見て、ギョッと驚いたような表情をして、一瞬固まった。
そして身構える。
「おや〜?お帰り、お風呂にする?ご飯にする?それとも私にする?とでも言おうとしてたのかな〜?」
「だ、誰が!!いくら環さんでも容赦しないですよ!」
沙奈の顔に熱が溢れているのが見てとれる。
同時に軽い殺気も溢れているのだった。
「それで、烈火はなんでそんなになってんの?」
それはそうと、という感じで呆れたように腕を組んで氷柱に問いかける沙奈。
「いろいろあったわけよ」
それに、やれやれと言う感じに両手を広げて答える氷柱。
「美弥ぁ〜?お願いできる〜?」
そして守護棟の内部に向かって問う沙奈。
奥からは美弥と、声につられた蛍が現れる。
「はい……呼び…ましたか?」
「コレ、お願い」
沙奈はそう言って、ぐったりと環に背負われている烈火を指指した。
それにしても人間にコレはどうかと思うのだが。
「はい……」
しかし、その事には全く触れずに美弥は烈火を背負って奥へと消えていった。
「これはこれは、環さんではないですか。どうか上がって下さい」
「蛍……気付くの遅いよ」
蛍が、作ったように完璧な笑みを環に向けるが、環はどこか不満そうだった。
仮にも上官なので、貴族癖がついてしまっているのかもしれない。
「それはお詫び申し上げます。ですから、どうかお上がり下さい」
「ブスッ、やっぱりこの反応……蛍もつまんない」
環は、あえて不満な表情を見せて、蛍の反応を伺おうと思っていたのだが、表情一つ崩さず、完璧な笑みをし続ける蛍に実際の不満を感じた。
「じゃ、上がって下さいよ。環さん」
そう言って氷柱は靴を脱ぎ、玄関に上がった。
そして、招く様な動作をする。
「うん、じゃあ上がらせてもらうね」
..............................。
「で、何の用ですか?」
「今回は氷柱君に用があるの」
環は今までの表情と口調からは信じられない程、真剣な眼差しになり、彼女は、氷柱以外の守護棟メンバーに席を外させた。
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