守護の鬼〜strange bloods〜
環...
「おぃ!おま……」
氷柱も烈火に続き、衝撃の中心地点へと向かう。
「ぶはっ!!」
突如、烈火の頭が爆発した。
比喩表現ではなく、物理的に爆発した。
言葉で表すと、膨張にたえきれなくなった風船から空気が溢れでるという感じに近く、烈火の頭から紅炎が吹き出した。制御できずに、炎が暴走したかのように。
「ど、どうしたぁ!?」
まさか敵だったのか、そう思い、氷柱は急いで烈火の位置へと駆け寄った。
「ぶべっ」
氷柱からも蒼炎が吹き出ししそうにるが、それはギリギリのところで氷柱は耐えた。
かわりに口で吹き出してしまう。
「ななな、何してんだぁ!アンタはぁ!」
そこには、頭から角を生やした長髪、涙目の女性が頭をさすって座っていた。
何故か、衣服を全くまとっていない。
座ってはいるものの、体のあちこちの際どい部分まで、露になってしまっている。
氷柱は今が夜だった事を少し後悔した。
角には衣服の残骸のようなモノが引っかかっていた。つい先ほどまで見にまとっていたようである。
「え〜ボク?」
「他に誰がいるんですかぁ?見ろ!烈火が屍になってしまったじゃねぇか!」
「烈火……くん?はあぁ?!」
女性は慌てて烈火に駆け寄って、烈火を覚まそうと声をかけた。
しかし、全く衣服を纏ってないままで。
「烈火くん?大丈夫?」
「う……あぁ……ぶべぇ!!」
再度烈火の頭は爆発した。
「だから!いい加減服を着て下さい!!」
「ん……?あぁ……へへ」
女性は一瞬キョトンッと氷柱を見て、その後自らの身体をさらり、と見回す。
その後、ちょっと顔を赤らめて、舌を小さくペロリと出した。
「普通それじゃあ、済まないです!アンタ女でしょ!」
「大丈夫大丈夫。替えはあるから」
女性は角にかけた武器ホルダーから着替えを取り出し、実物大に拡大する。
(服とかも作れるんだな)
少しだけ感心する氷柱。
「替えがありゃあいいってもんじゃ……はぁ……なら着替えてください」
「なんで後ろを振り向くの?」
「〜〜っぅ〜当然でしょ!」
..............................。
「本当面倒くさいんだから、氷柱くんは」
女性は腕を組み、ムスッとしてしまっている。
「当然でしょぅ?!」
「ボクが嫌いとか?」
「いや……そういうワケでは……いや…むしろ……ちょっとは興味をそそられ……」
いいかけたところで氷柱はブンブンと物凄い勢いで首を左右に振る。何かを忘れようとするように。
「ったく……どうしたらそうなるんだよ……環さん?」
今氷柱達の頭上から降ってきた女性は、倉橋環(くらはし たまき)。19才。
守護士達を総括する、本部に勤めている、氷柱達の正真正銘の上官である。
立場上は、黒川町の守護棟長である夏海蛍よりも上だ。
もちろん、それには特別な認められる理由がある。
「はぁ……アンタはまともな登場はできないんスか?蛍さんの方がよほど上官っぽいですよ」
「だって……ねぇ?」
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