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守護の鬼〜strange bloods〜
番人...
氷柱は無事を手を振って示した。
それをみて安心したのか、彼女達の速度が失速した。そしてゆっくりと氷柱への元へと皆歩み寄って来る。

「なんだそのザマァ?氷柱よォ」

「ははっ確かにな……情けない」

氷柱は烈火のからかいに苦笑いで答えた。
その言葉にも張りがない。相当身体への疲労とダメージが大きかったようだ。

「さて……報告を……」

報告書とは別に、その場での現状報告というものもある。
そのために、蛍が携帯を取り出した時だった。

ヒュンッ

と小さな風切り音がして人影の集団が一つ現れた。

テレポートでもしたのだろうか……特別な訓練を守護士であれば、そのような力を持った者がいたとしても不思議ではない。

「……さすがですね。連絡をする前に駆けつけるとは」

「蛍さん?こいつら……」

「ええ……BOG(血の番人)です」

血の番人、通称、BOG
それは人間の法では裁く事のできない寄神達を裁き、罰を与える。
名の通り、寄神専用の警察と裁判所のような物だ。

「連れてくのか?」

BOGの一人が氷柱の方向へ顔を向けたが、大した反応は示さず、顔を確認したかどうかもわからないまま、倒れているミノタウロスに手、首、足へと様々な場所へ錠をかけてゆく。

「なんか言えよ」

氷柱は少しイラだったが、それを烈火が制した。

「わかるだろ?ヤツらは俺達より立場が上だ。かかわるな」

「ちっ」

この中で烈火が最も感情を表に出しやすい。それに氷柱、沙奈と続く。
その烈火が関わるなと言うことはよほどのことなのである。

「確保、確認致しました」

「相変わらず、迅速な行動ですね」

その中の一人が蛍に頭を下げた。
そして、では、と言ったかと思うとつい先ほどまでミノタウロスが倒れていた場所には人影一つなくなっていた。

「終わりましたね」

「行くか」

蛍とニールが歩きだし、それに皆続く。
その時の彼らは既に普段と全く変わらない顔で、山を下りて行った。



――*――

ヒュッ

先ほどミノタウロスが倒れていた場所に再び誰かが現れた。

「あ〜あ……やられちゃったのか、ミノくんは」

それはその場に落ちている斧ではなく、その刃の溶解した残骸に触れ、どこか楽しげな表情をしていた。

「こんなことできるのは、竜か鬼しか、いないなぁ」

その人物は、溶解した鉄の塊を握り締め、地面から引き剥がした。
その側面をぺロリとまるでケーキのクリームのように舐める。するとそれは砂の用にサラサラ…と分解され、地面へ溶け込んだ。

「やっぱり……一筋縄じゃいかない……か」


ヒュッ

それは現れた時と同じようにほとんど物音を立てず、その場から立ち去った。

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あきゅろす。
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