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守護の鬼〜strange bloods〜
光と影...
「見ろって...影と戦ってるだけじゃねぇか?」

「良いですから...」

ミノタウロスの本体に匹敵、又はそれ以上の力を注ぎ込まれた最強の分身ミノタウロス。
それは、前回同様、烈火に一掃される事なく生き残った。
ただ、状況が前回と異なっていた。
その分身は蛍のドッペルによって呼び出された、己の影と戦っていた。

「ちっ....決着つかねぇじゃねえかぁ!」

「し...あと少しです...」

次第に、影の身体能力が衰えてゆく。
そして、ほんの一瞬影に隙ができた。そこへ光のミノタウロスが巨大な斧を一閃。
パシュッ
切り裂かれた影はまるでシャボン玉が割れるかのような、音がしたのかわからない程、小さく、あまりにも弱々しい音をたてて消えた。

「おぃ!蛍!影が負けたぜ?!」

「フフフフ....計画通りです...なんの支障もありません...」

「なにがだ...ぇ...」

その瞬間、烈火は目を疑った。
影に打ち勝ったハズのミノタウロスが、山から町中に響き渡る程のおぞましい叫び声をあげて暴れ始めたのだ。
頭に激痛が走っているようで、周囲の木々に頭を幾度も、幾度も叩き付けていた。
吐く息も、荒く、目もうつろであった。

「どうしたんだ...ありぇねぇ...」

「完全に、精神崩壊を引き起こしてますね...。」

「精神が...崩壊?」

「えぇ...」

影には正反対の性格が埋め込まれている。
それはすなわち、表の自分と裏の自分。
それは、生きていれば何度かは入れ替わることがあるだろう。
普段、優しいはずの人物が突然キレる。
などが例だ。
このように、影が正反対の自分の精神を受け持っているので、普段は安定した精神状態にあるのだ。
しかし、ミノタウロスはその影を殺してしまった。
それ故に、行き場を無くした裏の自分の精神が、表の自分の精神に入り込み暴走を引き起こしているのだ。

「じゃあ...ヤツはどうなるんだ?」

「そろそろ...」

終わる、と言おうとした途端ミノタウロスは自らの斧で喉を掻き斬ってしまう。
分身ミノタウロスから吹き出す鮮血...。その出血量はほんの一瞬で致死量に達し、分身ミノタウロスは消滅した。

「へ...なんつー恐ろしい能力だ...コレがあれば、無敵じゃねぇか?」

「いぇ...そうもいきません...」

蛍はそう言って、自らの左目に刻まれた、三日月を型どる痣にそっと手をそえる。

「今は、これくらいで済みますが...」

蛍が使った先ほどの技...相手の精神力が強ければ強い程、自らの精神力を削るの技である。
そして、限界値を超えた時には、使い手の精神崩壊までも引き起こしてしまう程の、危険な技。

「危険になると、この痣が光を発して教えてくれます。」

その痣は、光こそ発してはいなかったものの、ほんの少し、熱を持っていた。

「大丈夫か?」

「ええ、これはいつもの事です。それより、皆さんを探しましょう。」

「あぁ...まぁ、心配いらねぇと思うがな。」






「ちぃ...そうか...お前が最強の分身だな...」

ニール達も、最後に残った、最後の分身ミノタウロスと対峙していた。

「二人共、下がっていろ。コレは俺が片付ける。」

ニールは構えていたバズーカをしまい、武器を2丁拳銃型の武器に取り替えた。

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あきゅろす。
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