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守護の鬼〜strange bloods〜
暴風砲...
無謀とも思えるこの行為、だが、三人には確証があった。
沙奈、美弥は二手に別れ、徐々に分身ミノタウロスの数を減らしながら、バラバラに散らばっていた分身ミノタウロス達を一ヶ所に集めてゆく。

「美弥、いくよ!」

沙奈のその掛け声に美弥は無言でうなづく。
そして...

「「風壁!!」」

二人同時に渦巻く風の壁を構成し、一ヶ所に集めたミノタウロス達を渦の中へ閉じ込めた。

「よし!いくぜ!」

ニールはその掛け声と共に、バズーカ型の武器を取り、狙いを定める。

「安定率...87%、距離...29、22m、数、約300...」

狙いが定まった時、次第にニールの腕を風が取り巻いてゆく。

「ぶちかますぜぇ!....暴風砲(ストームキャノン)!!」

その掛け声と共にバズーカの引金が引かれた。
バズーカから放たれた暴風は、回りの空気を取り込み、威力を増してゆく。
その風圧で地面に風の通り道が残る程の破壊力...。
その渦は分身ミノタウロスの群れに向かい、直線を描き、衰えることなく空気を切り裂いてゆく。
して、渦は分身ミノタウロスの群れの中心を見事に捉え、ほとんどの分身ミノタウロスは跡形もなく消滅した。ただ、一体を残して。






蛍は何かを唱えるように、一言呟いた。

「ドッペル....」

のちに、蛍は蛍光色に染まった目を括目する。
その時、地中から、何かが湧き出てきているのが見てとれた。
当初は、何なのか識別するのが困難な程であった。全く実体として存在していなかったからである。
しかし、次第に実体化してゆく。

「フフフフ...コレを使ったからには、早めにケリをつけましょうか...」

それは、それぞれの分身ミノタウロスの影≠セった。
影は、もう一人の自分であり、正反対の偽りの自分。
影はその正反対を潰し、光の世界の自分と入れ変わろうと、本物の自分に襲いかかる性質を持つ。
ただ、影故に、同じ身体能力を持ち、同じ技を持つため、決着はなかなかつかない。

「フフフフ...では、今のうちに....」

「あぁ、了解だぜぇ!」

二人は、分身ミノタウロス達が、自分の影と戦っている間の隙をつき、次々と数を減らしてゆく。
影は光≠フ自分しか襲うことはしない為、今の二人側につく勢力は、分身ミノタウロスの数+烈火、蛍ということになる。

「蛍!離れてろ!一掃する!」

「フフ...アレをやるつもりですか...わかりました。」

「よっしゃぁ!行くぜぇ!爆炎波!!」

烈火を中心に広がる高熱の波...先ほどまでの戦闘力の分身ミノタウロスならば一掃は不可能だったが、影によって体力を消耗した分身ミノタウロスを一掃することは、容易だった。
烈火の、爆炎波で分身ミノタウロスは消滅した。
前回同様、ただ、一体の最強の分身を残して。

「クッソが!またかよ!」

悔しさに身を任せ、それを倒しにかかろうとする烈火。
だが、蛍は足をかけ、飛びかかろうとする烈火を転倒させる。
烈火は予想だにしたかった攻撃に、バランスを崩し、顔面から倒れ込んだ。

「いってぇな!!テメェ!なにしやがんだ!!」

「烈火君が、手をくだす必要はありません。見て下さいアレを...」

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