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守護の鬼〜strange bloods〜
苦戦...
ギャリリリ、と鋭く削る耳に痛い音、
ドド、ドド、と骨がきしむような鈍い音、
ドン、ドン、ドンと重い弾が打ち出される音、
それぞれが自己主張の激しい効果音として、木々の隙間をすり抜けてゆく。

「チッ...クソ...コイツら前より戦闘力が高ぇ...」


「フフフ...確かに困りましたね...この数では、キリがありません。」

蛍、ニール、烈火、沙奈、美弥は小型ミノタウロスの攻撃により、チームは二つに分断されてしまった。
一つは烈火と蛍、一つはニール、沙奈、美弥。
二つに分断されたにも関わらず、一行に減る気配を見せない小型ミノタウロスの数。
先ほどのミノタウロスの自信ははったりなどではないようだ。
烈火が以前経験したものより、一枚も、二枚も上手の戦闘力になっていた。

「仕方がありません。僕も本気を出せねばならないようですね。」

そう言いながらも蛍は、余裕と言うよりは楽しんでいると言ったほうが正しいであろう笑みを浮かべている。

「じゃ、早くやれよ...くそっ」

それとは対照的に、烈火は必死になっていた。
徐々に小型ミノタウロスに追い詰められてゆく烈火。しかし、なおも蛍は余裕の笑みを浮かべ、

「焦らなくても大丈夫ですよ。すぐに終わります。」

そして、持ち武器を、狭い範囲の近距離武器から、広範囲を攻めることの可能な、鎌に持ち変える。
その鎌の大きさからは死神を連想させられる。

「フフフフフフ...」

「おぃ!テメェ!笑ってねぇでコレをなんとかしろ!」

蛍は、笑みを浮かべたまま、しばらく立ったまま動かない。
その間にも次から次へと二人へ襲いかかる、ミノタウロス。

「焦らないで下さいと言ったでしょう?...では、いきます。」

蛍の瞳色が、日本人らしい黒い瞳色から、蛍の光色へと染まってゆく。
そして、目を閉じて、小さな言葉で何かを唱えるように、呟いた。






「らっ!!」

「....」

「本当に厄介な能力だな。」

それと同刻、沙奈、美弥、ニールの三人も、二人同様、苦戦を強いられていた。次から次へと、間髪開けない攻撃に、三人は攻撃を受け流すのに精一杯で、攻めることがなかなか出来ずにいた。
どちらかと言えば、蛍たち側より、こちら側のミノタウロスの方が数が多いかのように感じられる。

「こ、これじゃ...やられるのは時間の問題...」

「......」

その中で美弥は眉ひとつ動かさずに、攻撃を受け流している。

「ははっ...さすが美弥...冷静だな...でも、さすがにコレは限界かも...」

ニールは武器を持たないまま、風技だけで応戦している。
これはニールだから成せること。
武器を介せずに風や炎を使う事は、恐ろしく体力(風力、火力)を消耗するのだ。
それは、烈火を除く、氷柱などの、黒川町の、守護棟メンバーも同じ事である。
故に限界が近く、あまり多用はできないのだ。
しかしニールと烈火は常時それを多用できる。

「アレをやろうか...」

「ニールさん?!体力は大丈夫なの?」

「ふ...沙奈?俺を誰だと思っている?美弥...大丈夫だよな?」

「.....了解。」

美弥がそう呟き、沙奈がそれに続く。
無謀にも二人は分身ミノタウロスの群れへ突入していった。

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