守護の鬼〜strange bloods〜
能力...
飛ぶことも、体力を消費する。氷柱は一旦地面に着地した。
(しかしどういうことだ、確かにさっきまで壁より上は四次元空間ではなかったハズ...なのに、急におかしくなった...)
「まぃったな...とにかくこの状況を調べないと...」
武器携帯ホルダーには武器だけではなく敵の情報を得る為のデータブックも付いている。氷柱は、そのデータブックを手に取った。
「え〜...ミノタウロスの能力は...っと」
「おっ...あったあった」
それに書かれていた、ミノタウロスの最後の切札とも言える厄介な能力...魔空間。
極限まで強化された四次元空間...相手に都合の悪い者は絶対に近づけない。これを魔空間と言う。
「魔空間...どうすればいい...?」
しかし氷柱はデータブックには疑問を持っていた。説明によれば、都合の悪い者は必ず近づけない≠フ能力は地面では最初から発動されていた、烈火と氷柱が巡り合うことはミノタウロスには都合が悪い。
しかし、先ほどは何の問題もなかったかのように、烈火が現れた。
「...もしかして?!......試してみるとするか...」
鈍い音が響く。
紅炎の拳が、ミノタウロスの分身ごと壁を突き破り、分身を吹き飛ばす。
「ぐほっ」
「ややこしい話は面倒なんだよ!何がどうなってやがる?!」
「予想外の敵が空間の中にいた、だから殺すってダケだ。」
しかし魔空間を完全化した理由は別にある。
魔空間の完全化の目的は二人を距離を本体から離す事。
人を食えば力を増すミノタウロスにとっては素晴らしい食事時間稼ぎになる...
「目的はそれか!!」
「町の半分も魔空間で囲んだ。なのにお前は今まで人間に会ったか?!!」
「!!」
ガスッ――
無数の槍が烈火を襲った。急所捉える事はならないが、身体の何箇所かを捉え、鮮血が散る...。
「まさか...バカな...まさか偵察隊は俺達を止めるのが目的じゃなく人間を集めるのが目的だったのかあぁぁ!!!!」
「クククッ」
「守護士の裏をかくとは、やってくれるじゃねぇの...」
「ヒヒヒヒ...これで俺はまだまだ強くなる...行く末はこの世の支配者になるぞおおぉ...!」
ゴゴゴゴ....
ゆっくり、静かに、音を立てずに、熱が烈火の掌へと集まっている...
「邪魔するてめぇらは俺(本体)には決して近づけない...そう...誰にも止められねぇって事だああぁ!!」
分身ミノタウロスは勝利を確信したかのように不気味な高笑いを始めた。
「ヒヒヒヒ...ハーハッハ.....!!!?」
不意に、分身ミノタウロスの顔面を紅炎で真っ赤に覆われた掌が押し付けられ、そのまま分身ミノタウロスは、壁へと押しつけられる。
「止めてやるさ....そして俺達を敵に回した事を後悔しな...」
「ぐ...あぁ..」
高熱のあまり苦痛の声をあげる分身...
「俺達をナメるとどうなるか、思い知らせてやる...爆発ろ(はぜろ)!」
すさまじく、そして鈍い爆音が響く...。
烈火の手元がすさまじい音を立てて爆発し、分身ミノタウロスは壁を5枚ほど突き破って吹っ飛んだ。その瞬間、分身ミノタウロスの意識は喪失した...
これで...しばらくすれば、本体の力は半分以外になる...この瞬間、状況は逆転した―――。
「おらららぁ!...ミノタウロォォォス!!!!」
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