守護の鬼〜strange bloods〜
追跡...
「よっ...と」
氷柱は近辺の壁に着地する。先ほど矢が刺さった場所が痛む。なかなか出血が止まらない...当たりどころが少し悪かったようだった。
(このくらい大丈夫だろ...)
それを氷柱は、軽く片付けた。
人間にとって重症でも、奇神の血が入っている氷柱にはたいした傷ではないのだ。このように奇神には人間にはないメリットがいくつかある。
「それより...ミノタウロスはドコかねぇ...」
氷柱は、その、奇神のメリットの一つ嗅覚を研ぎ澄まして、ミノタウロスの大まかな方向を探る。
「あっちだ...」
氷柱は匂いを辿り、ミノタウロスの位置を探る。
「さて、飛ぶか!」
「らららららぁ!!!!」
無数の炎弾が烈火の両腕から連射される。
近寄る無数の小型ミノタウロスは炎弾をまともに受け、次々と吹き飛んでゆく...
「クソッどんだけいるんだよ...邪魔だああぁ!爆炎波!!」
烈火を中心として炎の衝撃波が爆音を立てて広がり、小型ミノタウロスを次々と飲み込み、小型ミノタウロス達はほとんど...いや...一体だけを残して燃え尽きた。
「ふぅ...終わったか...」
しかし烈火は生き残りがいた事に気づいていない...
烈火の背後から無数の槍が襲う...
「!?...」
烈火は振り向きざま、炎の壁を作り、襲いかかる無数の矢を受け止めた。
「ちっ...残念...一発じゃ消せなかったか...」
「ケーキのロウソクみたいに言うな!」
「へぇ...喋れるんだ...」
今まで烈火と氷柱が戦ってきた小型ミノタウロスは全く知能のない道具のような、言葉を発しない者だった。
しかし、このミノタウロスは言葉を発している。
「俺の邪魔をするヤツラは全て殺す...」
「邪魔もクソも、お前本体じゃねぇだろ。」
「俺を倒さねぇと本体は倒せねぇ....」
このミノタウロスは本体が特に力を注ぎ作り出した最後の分身の、思念体。
思考も、力もミノタウロスと同じか本体以上...。
これがいるうちはミノタウロスの力は充分。
だから、なかなか倒せないしかしこれを倒せば本体も楽に倒せる。
「なるほど...だがお前がやられちまったら全く意味ねぇだろ...」
「はァ!!!!」
フットワークを踏んだミノタウロスの腕から再び無数の槍が放たれる。
「とっ!」
烈火も素晴らしいフットワークで襲いかかる無数の槍を避ける...
(実際ミノタウロスの目的はなんだ...?)
烈火を通り過ぎたはずの槍が突如方向を変えた。
そして、再び烈火に襲いかかる。
「!!!!...」
しかし烈火は体を球体の炎で包み込み、槍がを回避した。
「へぇ...そう簡単には殺られてくれないか...」
「お前の役割はなんなんだ?」
「....そろそろ本体の魔空間が完全化する頃だな...」
「魔空間?」
「四次元の捻れを隅々張り巡らせて誰も出れないように、そして、都合が悪いヤツラは決して巡り合えないようにするのさ...」
「な...なんだと!!?」
「なんでだよ...さっきまで確かに近づいてたのに...ここはさっき飛んだ場所じゃねぇか...」
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