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守護の鬼〜strange bloods〜
突如...
氷柱の予想通りの言葉を烈火は放った。烈火は自己主張が強いからだ。

「さ、急ごうぜ。遅くなるとまた沙奈が怒るし...」

「あぁ..」

氷柱と烈火は少し早足で仲間の待つ黒川町へ向かう...
と、一歩を踏み出した時だった。

氷柱達の周囲を、否、市街地全体を白い壁が囲んだ。そして、氷柱と烈火の間にも壁がそびえ立つ。
次々と新しい壁が継ぎ足されて広がり、入りくんでゆく...

「こ...これは...迷路?」

そう、様々な形の壁が継ぎ足され、入りくんだ道...これを迷路と呼ばずしてなんと呼ぼうか...
否、この規模だと迷路では物足りない...迷宮と言ったほうが正しいだろう...

「っ...烈火!!聞こえるか?!」

返事がない...壁に寸断されてはいるものの、壁一枚の距離だ。声が届かないハズはない。なのに全く届いていないかのように静まりかえっていた。

「烈火?....クソッ...やっぱりダメだどうなってやがる...」

プルル...プルル...
と、氷柱のポケットから着信音が鳴った...表示によれば、相手は烈火。

「もしもし...」

『おぅ!氷柱!生きてたか...返事がねぇから死んだかと...』

「それは俺もだ...しかし...こんな近くで声も届かねぇってことは...」

『あぁ...恐らく四次元的な捻れた空間だな...で...迷路となると...」

迷宮のミノタウロスの能力だ。
壁を自由に操り、迷宮に入った者は二度と出さない四次元迷宮をつくる事ができる怪物である。

『...なっ』

「おぃ...どうした...?」

『わかんねぇか...?この血の匂い...」

奇神の血が入れば嗅覚も獣並になる。
言われて気付いた。...確かに、すかだが血の生臭い匂いが...

「!!!!...」

突如、氷柱の耳に悲鳴らしき声が届いた...。氷柱は聴覚を凝らし、悲鳴の方向を探る
とにかく、声と血の匂いの方向にミノタウロスがいるのは間違いないのだ。

『おぃ...どうした?』

「聞こえたか?今の...?」

『いや...何も...』

(ちっ...やはり空間の捻れで勝手が違うか...)

「とにかく...血の匂いがする方向に走れ!そこにミノタウロスがいる!」

『言われなくてもわかってらぁ!」

「よし!...じゃぁ、後で会おうか...」

『あぁ...了解。』

ピッ...

「ふぅ...連絡とったのがバレてるとは...厄介だな...」

氷柱の前と後ろにはおびただしい数の斧を持った小型の牛型の奇神がとり囲んでいた。
コレはミノタウロス偵察隊だ。邪魔者は早めに消すつもりだろう。

「邪魔だ!ちび牛共!ビーフジャーキーになりたくなかったらどきやがれ!」

しかし氷柱の敵ではなかった、風だけで充分。

「だらあぁ!暴風刃だあぁ!」

小さな牛達は竜巻によって引き起こされた鎌鼬により、肉を引き裂かれ、牛のバラ肉となって飛び散った...。
いつもの氷柱なら焼肉にして食べてしまうだろうが、現在はそんなことをしている暇はない...

「ドコだああぁ!ミノタウロス!!」






氷柱が偵察型ミノタウロスの群れを突破した時、烈火の元にも偵察型ミノタウロスの群れが訪れていた...。

「さっき大量に増えた血の匂いは人の血の匂いじゃねぇ...となると、コイツらの血か...やるな...氷柱...俺も負けねぇぜ!」

そう呟やいた烈火は偵察型ミノタウロスの群れの中へ突っ込んでゆく...

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