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その男、山井彰(仮)
〜後輩たちの日常〜 −1−
今、話そうとしているのは、山井彰らの後輩にあたる者たちの日常の一部である。などといっても、大層面白い話という訳ではないので無駄に期待をしてはいけないのである。

「おーっす、夢羽!」
現在時刻は、8時29分だ。遅刻1分前である。そんな時間にある男子生徒と女子生徒がダッシュで校門をくぐった。
「あぶない、あぶない・・・。」
「いやー、ギリギリだったな!」
「奇一・・・。なんであんたまで遅刻しそうになっているの?」
小坂奇一、彼は、大手コンツェルンの社長の御曹司である。彼は、毎日ガードマンに付き添われて登校している。もちろん車で。
「朝に弱くてな。どうしても起きるのに時間がかかっちまうんだよ。」
彼は、低血圧である。だからどうしたって話なのだが。
「そうだったんだ・・・って、こんな世間話している場合じゃない!」
キーンコーンカーンコーン。チャイムの音が学校中に響いた。そして、彼ら二人には先生のお叱りがクラス中に響いたのである。

「朝から説教くらっちまったな・・・。」
「まぁ、私にも落ち度があったしね・・・。」
夢羽と奇一のために朝のSHRが潰れた。なに、先生の自慢話を聞く羽目になるだけなので同級生たちは、内心ラッキーだと思っている。ちなみに、こんなことがしょっちゅうあるのだから同級生は、またやってくれているな。なんてことを思うのも許されるだろう。
「おはよう・・・。」
「おはよう。静ちゃん!」
「おーっす。笹藤!」
笹藤静。彼女は、二人のクラスメイトであり、数少ない友達の一人である。ちなみに、厄介ごとを持ち込んでくるのは大抵彼女である。
「たいへんだったね・・・。」
「なーに、そんな大変でもないけどな!」
「はぁ、先生のお説教は何回聞いても堪えるなぁ・・・。」
それから、数十秒後・・・
「おーい。二人ともさっきは大変だったな。」
「草田くん。さっき静ちゃんに同じこと言われたよ。」
「凛。さっきのやり取りをみていれば問題なく普通の話を振ってこれたよな。」
草田凛。彼も二人のクラスメイトであり、友達の一人だ。特徴としては、子供っぽい奴で馬鹿である。ちなみに、あの山井の従兄弟にあたる存在だ。
「何だよ。別にいいじゃないか。心配して言ってやったっていうのに・・・。心配して損したな。」
「あっ・・・ごめんね。別に責めてる訳じゃないからね。」
夢羽のフォローが入った。
「別にいいよ。気にしないからさ。」
「凛もこう言っていることだし、気にするな。」
「あんたは、反省しなさい。」
「はいはーい。」
そんな他愛もない世間話をしていると一時限目の授業のチャイムが鳴り響いた。そんなこんなでSHRの後の10分休みがあっさり終わり授業が開始された。

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あきゅろす。
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