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その男、山井彰(仮)
〜いわゆる日常の一部〜 −2−
「ところで、一体どんな用件で私に会いに来たのですか。」
「単刀直入に言うわよ。お昼ごはんを忘れたからなんか頂戴。」
本当に単刀直入だったな。何、弁当を忘れたからなんか恵んで欲しいとかなんとか。こういう話は前もってフラグなり何なりを立ててからやって欲しいイベント其の一だな。
「なぜ、私があなたに何かを恵まなければならないのですか。私にどんな利益があるというのですか。」
僕は今まで自分の利益に成るかならないかで対応を変えてきたからな。鳴瀬も分っている筈だ。
「利益なんて何もないわよ。」
「それなら、私があなたにすることも何もないですね。」
鳴瀬の視線が肌を突き刺しているような気がする。彼女は、目から何か得体の知れない物を出すことができるのだろうか。それなら是非ご教授してもらいたいものだな。日給二千円位なら出してやらないわけでもない。
「お願いよ。山井様。どうかお恵みを・・・」
「何をどう言おうとも恵もうとは思いませんね。」
また、鳴瀬の視線が肌を突き刺している。今度は、殺気というのだろうか。君は、目で人を殺せるように特訓でもしているのですか。
「山井のけち。こんなにかわいい女子高生がこんなに頼むだけじゃ不満なわけ?」
おいおい、自分のことをかわいい女子高生とか言いわないでほしい。ナルシストみたいに見えてしまうじゃないか。君のことをそんな風には見たくないからな。
「それなら今は、何かを恵んでもいいでしょう。ちょうど鞄の中にパンがありますし。その代わり次の日曜日に私に付き合ってもらいます。それでよろしければこのパンをあげましょう。」
この場で今週の日曜日のためのフラグを立てておけば何か面白いことになりそうですしね。
「つ、付き合えってどういうことよ。あんたの彼女にでもなれとでも言うわけ。」
「違いますよ。ただ買い物に付き合ってもらうだけですよ。限定品なので一人二つまでになっているのでそのお手伝いでもしてもらおうかと考えていただけです。」
「な、なんだ。そ、そんなことなら別に構わないわよ。了解をしたんだし、さっさとそのパンを頂戴。」
鳴瀬にパンを渡した。そのとき僕は、フラグを得ることができたと内心満足していた。
「今週の日曜日に駅前にきてくださいね。忘れないでくださいよ。」

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