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夢小説
月(戦)

今日はちょうど満月の月も、薄い雲に覆われ、生憎の天気だった。

「ちっ、せっかく綺麗な満月でもみて酒を飲もうと思ってたんだがな」

「あら、私は好きだけど」
「Ah?こんな悪天候の中の月のどこが好きなんだ?」
「うーん、特に。でも、漏れ出月ぞ美しいと思うけど」

「なんか違和感ありありの発言だな」

「うるさい、そう思うでしょ?」

「そうだな、゛秋風に たなびく雲の絶え間より 漏れ出月の影のさやけさ゛て言うぐらいだしな」

「そうそう。ほら出てきた」

地面に所々光が差す。
頃合いだと思った紀は、ゆっくり伊達に酒を注いだ。

「なあ、アンタはこの月をどう思う?」

「へ?」

さっきいったじゃない…

そう思った。

「あの月は俺に似てるか?」

なにいってだろ、こいつは…

「似てるって、似てたらあんた、ここにいないでしょうが」

「そうか…」

そう言った政宗の横顔はどこか切なく、まるでその目には何も見えていないかのようだった。

それがあの幼いときの政宗に似ていると感じられた。

「…そうね、似てるわ。昔のあんたに」

「…そうか」
あの目で少し笑われると、こっちまで胸が痛くなった。


「でも、もう似てない。アンタはこんな曇った月から綺麗で勇ましい申し分のない月に変わったんだ」

「そうなのか?」

「ええ、だって自意識過剰なのがアンタじゃない。奥州筆頭さん?」

「Ha!腹立つ言い方だな、相変わらず」

「そりゃどうも」

そういって、また私はあいつに酒を注いだ。

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