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Snow memory
プロローグ
舗装もしていないただ土を押し固めただけの簡素な道に粉雪が舞い落ちた。

粉雪は少しずつ土を覆い尽くしていく。

やがて降り積もるこの雪のように胸に秘めた想いも大きくなっていた。

粉雪が舞う視界の向こうに白い着物に身を包んだ彼女が立っている。

「友花さん…」

男はゆっくりと口を開いた。

胸に秘めた想いを伝えるために…

彼女は何も言わず、男がこれから言おうとしている言葉を待っていた。

すらりと伸びた黒髪がほのかな風に乗って揺れている。

「僕と…結婚してください」

男から発せられた言葉はただそれだけだった。

伝えたいことは沢山ある。

だけど彼女を前にしていざ言うとなると頭が真っ白になってうまく言えなかった。

彼女はそんな不器用な言葉でも男の想いをしっかりと受け止めていた。

頬を微かに赤らめ、だけど視線は男から逸らすことなく真っ直ぐと見つめている。

舞い落ちる粉雪の中、やがて女はゆっくりと微笑んで口を開いた。

「はい…」

彼女の発した言葉もそれだけだった。

たった二文字の言葉だったがそれはちゃんとした肯定の返事。

言葉は少ないけれど想いは同じだった。

二人は静かに抱き合い、今この瞬間の幸せを感じ合った。



男と女のいわゆる一つの幸福の形。



幻想的な粉雪が舞う冬の記憶。



これは男と女の出会いのお話…




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あきゅろす。
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