拍手 朝、やけに期限がよかった。気まぐれに飲んだ酒で久しぶりに酔ったからかもしれない。ああ、あいつの一周忌だ。 昔の記憶を頼りに、あいつは梔子の花が好きだったなと一人呟いてそれを買った。なあに、そんなに高いもんじゃないさ。俺は俺以外には高い花を買わない、安くたって構わない。 墓石は冷たかった、最後に見たあいつの血はあんなにも温かかったのに。俺が殺したわけじゃないが。 「よくあんな人生で満足できたもんだ」 恥ずかしくはねぇのか、そう叫んで白い梔子の花を墓にぶつけた(バカじゃないのとお前は笑うか) そうだ、お前に言いたいことがあった。聞きたくなかったら耳を塞げ、風穴開けてやってもいい。 「お前は俺の愛人に昇格だ」 (君が好きだった花を添え、今更ですが送ります) [前へ] |