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唇を噛んで、まるで血を捧げるみたいに


もしわたしが明日死ぬとしよう。実際どうだかなんてわからない。わたしはただのひとであって神でもなければ男でもない。一人の愚かなおんなだった。
奴は言う。お前は馬鹿だ。綺麗でもない。ブス、それに頭も悪い。生きている価値あんのか、死んでしまえ。そんな台詞にも嬉しさやいとしさを感じるのだからわたしはよっぽど愚かで、そして馬鹿でブスで頭がわるいのだろう。
それでも彼は言う。「お前は何処にも行くな」
わたしはいいよ、と下手な日本語で言った。
馬鹿だなおまえは、死んでしまえ。やはり日本語には慣れない、奴はわたしの嫌いな笑みを顔に張り付け、言った。


もしわたしが死ぬとしよう。わたしはまだこの言葉の真相に迫れていなかった。やはり愚かなおんなだ。
わたしはつまり奴のようになりたかった。やけに世渡りがうまくしかも生まれたときから上手にはいはいが出来る彼に。(わたしは生まれてすぐにはいはいは出来ない)(理由としてはわたしが愚かで、馬鹿で・・・以下略)結局わたしはただの人間の女だということだ。わたしが今ここで死んだとしても泣く人はいないだろう。わたしは人生の綱渡りの真っ最中なのだから。奴は、彼は泣いてくれるだろうか。さて、私は大統領のような存在に?まさか。強く唇を噛めば、そろそろ





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あきゅろす。
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