Sae's Bible
昼下がりの3兄弟
ぐるぐると鳴るお腹の音で、余計にお腹が減る。
丁度そんな時、タケシミアが買い物カゴを一杯にして帰って来た。
「姉さんただいまぁ!お腹すいたでしょ、お昼にしよ。」
「タケシミア!!ナイスタイミング!!」
「あはは、んじゃすぐに作ってくるよ。」
「やったぁ!!」
サエに笑いかけたタケシミアはパタパタと少し急いでキッチンに向かった。
サエはお昼ご飯だからと店を一時的に閉めようと、カードをOPENからCLOSEに変えた。
「ごっ飯♪ごっ飯♪素敵だな〜♪」
適当な歌を歌いながらリビングに向かおうとしたその時、カランカランと扉が開く音がした。
「あ、今からご飯やから後にして欲しいねんけど。」
そう言いながら振り返ると、怖そうな役人さんがサエを睨みながら立っていた。
「カズヒルム・エトワールに必ず渡せ。」
役人さんはそう言って1通の手紙をサエに強引に渡すと帰ってしまった。
「なんやねん、感じ悪い役人さんやなぁ。」
サエはいきなり渡された手紙を見て、またすぐに「まぁ、いいや。ご飯ご飯〜♪」と鼻歌混じりにリビングへ向かった。
リビングに行くとすでにカズヒルムも降りて来ていて、タケシミアを手伝っていた。
「姉さん、今日の昼はサンドイッチだよ〜!」
「やった!私サンドイッチ好きやねん。」
「タケシミア!サラ尾漬けサンドにしよう!」
「いやだよあんなの入れたくない。」
サエとカズヒルムはサラ尾漬けが大好きで、いつもご飯の時には食べている。
だけどなぜかタケシミアはサラ尾漬けが大嫌いなのだ。
サエは椅子に座ろうとして、「あっ!」と手に持っていた手紙のことを思い出した。
「お兄ちゃん、これ役人さんから。」
「役人から?…なんか嫌だなぁ〜。」
「兄さんは役人さんがあんまり好きじゃないもんね。」
タケシミアはクスクス笑いながらサンドイッチをのせたお皿をテーブルに置く。
「そうなんだよ。何度説明しても役人は私の実験を理解してくれないんだ。あ、サラ尾漬けが無い。」
カズヒルムは手紙をポケットに入れて、キッチンにサラ尾漬けを取りに行った。
「なぁ、タケシミアってなんでサラ尾漬けが嫌いなん?」
サエは椅子に座るとタケシミアに聞いた。
「美味しくないし、色が蛍光ピンクで気持ち悪い。」
タケシミアは凄く嫌そうに即答しながら、紅茶のポットとコップ3つをキッチンからテーブルに運んだ。
するとカズヒルムがサラ尾漬けをテーブルに置いて椅子に座ると、タケシミアにサラ尾漬けについて熱弁し始めた。
「そんなことないぞ!サラ尾漬けは素敵なんだ!魔力があるから夜は七色に光るし!」
「え、光るのアレ…。…さらに気持ち悪いよ兄さん…。」
「何言ってんのタケシミア!!
サラ尾漬けはエデンの特産品になるくらい美味しいねんで!!」
「………エデンのみんなは舌がおかしいんだよ…。」
タケシミアはおいしそうにサラ尾漬けを食べる2人を軽蔑の目で見た。
「食べず嫌いはいけないぞタケシミア。」
「ほんまや、美味しいのに食べず嫌いして。」
「昔、兄さんたちそう言って無理矢理食べさせたことあるじゃないか!本当に嫌いなんだから仕方ないだろ…。」
3人で座ってサンドイッチを頬張りながらしゃべっていると時間が過ぎるのはあっという間だった。
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