Sae's Bible
ショタっ子なのだよー!
「ぼっ、ボクはミューリット!ミューリット・ラングフォードなのだよー!!ここ、『宵闇の扉』の守護神なのだよー!!
だから…おねがいだから…剣をしっ、しまってほしいのだよー!!」
ミューリットは怯えながらも、キムーアの眼力に負けないように頑張って声を張る。
「ちょっ、止めたってやキムーア!怖がってるやん!」
「………」
「ミナルディ様っ!!」
一向に剣を動かさないキムーアを見兼ねたナーナリアがキムーアの袖を引っ張り、目で訴えかける。
「チッ…洗いざらい話せよ、それから眠りの神の所に案内しろ。」
「うんうん!わかったのだよー!だから下げてなのだよー!」
キムーアはナーナリアと目配せをすると不満気に溜め息をつき、眉間に皺を寄せて仕方なく剣を収める。
「さっき言った通り…ボクは『宵闇の扉』の守護神、ミューリット・ラングフォード。ミュー君て呼んでなのだよー!
ボクのお仕事はここに来たスリプトラを持つ人達を審査して、合格なら寝所に通す役目なのだよー。」
「へぇ〜!んじゃさっき攻撃してきたのは審査やったん?」
「うん、そうなのだよー。ごめんなのだよー。」
サエの問いにミュー君は申し訳なさそうに頭を下げる。
「ちょっと待ってください。では名前というのはどういう事ですか?」
「確かに。ジュリーが詠唱していた時にも、あの方がどうとか…よく解らない事を口走っていたな。」
「あー…それは…『ねーね』に聞いた方がいいと思うのだよー。話が長くなるし…」
ミュー君は神妙な面持ちで気まずそうにキムーアとナーナリアをちらっと見る。
「ねーねって誰なん?」
「あっ!眠りの神、リホソルト・スリープ様なのだよー!ボクを創造したのはリホソルトなのだよー。だから『ねーね』!」
「……ではそのリホソルトとやらに会わせてもらおうか。」
「りょーかいなのだよー!そっちに居る二人もボクの近くに来て欲しいのだよー!」
ミュー君は無邪気に笑いながらジュリーの看病に勤しむアキルノアを呼ぶ。
「………」
「アキルノア〜!はよせな置いて行かれんで〜!!」
アキルノアは少し戸惑っていたが間もなくジュリーを抱えてこちらへやって来た。
「んじゃ、いっくのだよ〜!!!」
ミュー君が瞳を閉じ、両手を肩幅程に広げると目の前にキラキラと光の粒が集まり出した。
《ご案内》なのだよ〜!!!
パァアアアッ!!
「まぶしっ!!」
「なっ!?」
「っ!!」
「うわっ!!」
大きな銀の魔法陣が敷かれたかと思うと、瞬く間に目を開けられない程のまばゆさがサエ達を包んだ。
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