Sae's Bible
ボクの名前は?

サエの声と共に両者がザッと行動に移る。

『あははっ!死ねよ!!!』

ガキィィィンッ!!!

振り下ろされた白銀の刃をキムーアの双剣が受け止める。

「ハッ…所詮ガキか。丁度いい!!ゼルバの鍛えたこの剣、お前で試してやろう!!」

キムーアはザッと少年の懐に入り目にも留まらぬ速さで双剣を繰り出してゆく。

「おらおらおらおらっ〜!!くらえ私の唯一の特技!!!」

ガスッ!ドドドドドッ!!

少年の後ろに回り込み、アキルノアが力強い健脚で何度もコンボを重ねて足技を決めていく。

『うわー君達卑怯だね、一気に2人がかりなんてっ!!』

少年はアキルノアの体術とキムーアの双剣を完全に防いでいるが、その為に攻撃を全くすることができない。

「よっしゃ私も攻撃すんで〜!!!」

空を翔ける憤怒の閃光よ
彼の者に雷公の裁きを下し
願わくば荒ぶる電光の連撃を与えんことを

サンダーボルト!!


ガカァアアアアッ!!!!

『ぐああああああっ!!』

直視出来ない程の閃光と共に凄まじい轟音が鳴り響き、激しい雷が何度も少年の真上から落とされる。

「あ…あっぶねぇえええっ!!!!!何してんのお前!馬鹿か!周り見てからやれ!!」

「もう少しで炭になるとこだったでしょおが!!
全くなんというアポニテ!!これだからアポニテ!!」

少年を攻撃していたキムーアとアキルノアは間一髪の所でサエの魔法を回避していた。

「ごっごめーん!!忘れてた…あはははは〜、ご…ごめんってば。」

「チッ……ん?様子がおかしいな…」

雷が落ちた場所は黒焦げになっているにも関わらず、少年の姿が無い。

「うそっ!?サンダーボルト直撃したのに!!」

「ちょっ…姫さまぁ!!まだ封印解けないんですかぁ〜?」

サエ達は周りに気を配りながらジュリーとナーナリアを護衛する。

「箱の封印は解けました!今からジュリーが解除魔法を詠唱します!」

乱雑に散らばった紙の中、目の前に置かれた箱の周りを金の魔法陣が取り囲んでいる。
その時、少年がサエ達の頭上にパッと現れ刃を振りかざしてきた。

『あはははは!!!!!皆まとめて死んじゃえー!!!!』

ギンッ!!ガチガチガチ…

「くぅっ!!!」(何故だ…力が出ない!!)

またしてもキムーアが受け止めたが、先程受けた時よりも少年の刃は重みを増し、形を変えていた。

「刃の形が変わってる!?そんなん反則ちゃうん!!」

「おいアポニテ!!喋ってないで防御しろよ〜っ!!ていやぁあああっ!!!」

ズパパパパッとアキルノアが少年の拳と蹴りの連撃を受け身で払っていく。

「えぇっ!?なんでそっちにもその子が…ってうぎゃっ!!?こっちもかい!!」

『『『あははっ!!1対1にしただけだよー!!』』』

いつのまにか3人に分かれていた少年達が声を揃える。

キンッキンッギリリリリッ…

「なんなんよ…コイツ!!!杖は殴るもんじゃないでっ!!」

『あはは、これはメイスだよー!!』

素早く繰り出される少年のメイスを杖で受け止める為、魔法が詠唱出来ない。
サエは常に守りに徹し、ジュリー達から遠ざけようとする。
その頃、アキルノアも同じ状況だった。

ドカカカカカッドズッ!!

「ぐぅっ!痛っ!」
(くっそー…力が…)

何故か力の消耗が激しく、思うような攻撃が繰り出せない。
それゆえサエ達は守りを固めるしかなかった。

「ミナルディ様っ…皆さん!」

自分達を守っているがために僅かな反撃のチャンスをも無駄にしてしまっているように見えて仕方がない。

ジュリーの傍らで解除魔法を促進させる為に魔力を送っていたが、それを見て中断した。
ナーナリアは弓矢を2本手にし、解除魔法を詠唱し続けるジュリーに一礼して立ち上がる。

「皆さんっ!!私が結界を張りますから反撃を!!」


《月輪結界、零式発動!》


ナーナリアが両の手で矢を地面に突き立てると、ジュリーを中心に結界がカーテンのように広がってゆく。

「よっしゃ、反撃ぃいいっ!!!!」

「うりゃああっ!!蕎麦昇麺拳っっ!!!!」

サエとアキルノアが反撃に移る中、キムーアは援護をするナーナリアの元に一旦退く。

「ミナルディ様っ!?反撃をなさって下さい!今ジュリーが解除魔法を唱えて…「後10分。」

…幾千の光の構築により
全ての夢幻を有限の闇へ換える力を放て
鍵を示し合わせその姿を照らす光は…


長々しい解除呪文をジュリーが唱え続ける中、キムーアはナーナリアの言葉を遮る。

「えっ…!?」

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あきゅろす。
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