Sae's Bible
投げるな危険。

丁度その時、キムーアがガサガサと奥深い森から出てきた…自身の3倍はある巨大な熊を担いで。

「………ぎぃいいやぁあああああああっ!!!!!!」

「ななななな…なんちゅうもん拾うてけぇんじゃ、おんどれはぁっ!!?」

「うわぁああああっ!?なんで熊っ!!?」

「あらあら、立派な毛皮だこと。」

「……何してんですかミナルディ様、返してきなさい。」

それぞれが全くバラバラのリアクションを同時にしたのが面白かったのか…キムーアはにんまりと怪しく笑うと、

「まだ生きてるぞ?」

恐ろしい事実を言い放った。

「ミナルディ様!!そんな巨大な熊なんて食べられません!
森に帰してあげて下さい!!お願いですからっ!!」

危うくアキルノアとアヤタルシェが失神しそうだったので、ナーナリアがキムーアを説得する。

「それもそうだな、じゃあこっちの魚と卵でいいか。
よし、んじゃ皆離れてろよ。」

「え?なんでなん?」

そう言ったサエの数センチ横をゴォオオオオッと熊の巨体が目にも留まらぬ速さで深い森へと飛んで行った。

「………何してんの、キムーアぁあああああああっ!!!!めっちゃ怖かってんけど!!」

「何って、熊を森にか「いや、帰し方おかしいでしょうがぁああああっ!!」

「なんだ、もっかい捕まえてくるか。」
「すんませんでした。」

本日3人目の土下座犠牲者はサエだった。

「うふふ、おバカな皆を見ているのは滑稽なのですけれど…そろそろ先へ進みませんこと?」

「そうですね。ずっと此処に居ても仕方ないですし、ウォール村へ行きましょうミナルディ様。」

「そうだな、飯食ったら筆箱に案内させよう。そろそろ親父の剣取りに行かないとな。」

「もはや筆箱かよっ!!私の扱い酷くね?」

そしてぞろぞろとアヤタルシェを先頭に一行は歩き始めたが、どうも無駄話しが多くなかなか前に進まない。

「なぁなぁ!私の魔力強くなったんってスルーなん!?誰かほめてくれへんの〜!?」

「何言ってんのアポニテ、いつもと変わらずヘボイままじゃん。私も姫様にほめてほしいっつーの!!」

「うふふ、アキルノア。貴女の使えなさを褒めちぎってあげましょうか?」

「ちょっ…皆さん!!ウォール村に行くんでしょう!騒いでないで歩いて下さいっ!!」


…何はともあれ、一行は森を抜けてウォール村へと足を進めたのだった。


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