Sae's Bible
口は災いのもと

アキルノアが睨みつける方向へ目を向けるサエとジュリー。
その先に居たのは大きな弓をこちらに向けている巫女服の女性。
そして砂埃であまり見えないが、武器を構える背の高い人がいるようだ。

「そこの者達!ここから立ち去りなさい!」

弓を構え、こちらに矢を放つ戦闘体勢をとる巫女服の女。

「あら、貴女たちにそう言われる覚えはないわ。こんな馬鹿なことをするよりも名乗るべきではなくて?」

「そうやそうや!ちょっとリンゴ投げただけやん!それにいつまでも名乗らんかったら私らが呼び方に困るやろっ!!」

「いやそうゆう問題じゃないっしょ。それになんだよ呼び方って!!名前呼びたいのかよこのアホ毛!」

サエ達が一斉に抗議しだしたせいか、巫女服の女は少し戸惑っている。
その時、巫女服の女を庇うように双剣を持った強そうな隻眼の女性が前に立ちはだかる。

「キムーアだ。後ろのはナーナリア。お前ら、何の用でここに来たか言え。」

「何なんキムーアめっちゃ怖いねんけど。そんな怖い顔してたら血管切れてまうで?」

キムーアが物凄い形相でサエを睨みつけ、軽く舌打ちをするのでサエは少し怖じけづく。

「サエ、黙んなさい。…アキルノア。」

「あぁ、はいはい。では、まず自己紹介を。私はアキルノア・ホルスト。んでこっちが姉のジュリーです。そっちのアホ毛はお供のサエ・エトワール。
私たちは別に怪しいもんじゃないですよ〜?ちょっと野暮用で来ただけですよぉ〜!」

ジュリーがアキルノアに目配せをすると、アキルノアはそれに気づきべらべらと嘘をでっちあげる。
サエも前にジュリーが言っていた身分を隠す為と気づいた。
しかし…

「一国の姫君が嘘とはいかがなものでしょうか、ジュリー・ベルベット・レニセロウス様。」

ナーナリアはジュリーの事を最初から知っていたかのように言う。
ジュリーは少しびっくりして、何かを悟ったように小さくため息をつく。

「何故かと思いましたけど…こんなもので人の心を探るのはよくないことではないかしら?」

ジュリーは細長い紙のようなものをサエの服の背中から剥がし、ビリビリと破る。

「え?なんなんそれ?」

「ほんとアホですねあんたは。国に入った時からマークされてたって事ですよ。」

「えぇ!?そんなんめっちゃ卑怯やん。私ら何もしてないのにそっちから攻撃してきて、しかもこんな汚い手ぇ使って人の心読むなんてずるいんちゃう?あ、剣に自信がないとか?」

「サエ!なんて事を言うの!謝りなさい!」

「そうですよ!初対面の人になんて無礼な!」

ジュリーとアキルノアがその言葉を聞いて、慌ててサエを叱る。
しかしもう遅かった。

「サエだかハエだか知らんが…私の剣とナーナリアを侮辱した罪は重い。
このミナルディ・キムーア様が貴様らを血祭りにしてくれるわ!!」

キムーアは双剣をサエ達に向け、怒り狂う。

「ミナルディ様…私も手伝います。ミナルディ様を侮辱した者は何人たりとも許しません!」

ナーナリアもキムーアの後ろで戦闘体勢をとる。
もはや2人を止める事は出来ない。
しかも頭に血がのぼっているせいかジュリーやアキルノアも対象に含まれてしまったようだ。

「仕方ないわね…アキルノア!準備はいいわね!」

「全く、アポニテめ!私らは関係無いってのに…!」

「えぇ〜?思った事言っただけやのにっ!」

「言っていい時と悪い時があるのよ!覚えておきなさい!」

ジュリーとアキルノアに怒られつつもサエは杖を構える。
そして…

「さぁ…私の剣のサビとなるがいい!!」

よくわからない戦いが始まった。

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あきゅろす。
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