Sae's Bible
よくわからない戦い

サエ達が戦闘体勢をとった途端、キムーアがアキルノア目掛け双剣で斬ろうとした。

「うわっ!あっぶないでしょうがぁああ!!」

アキルノアは後方へ跳ね避けてキムーアの剣をかわした。
しかし、キムーアに気をとられていたためナーナリアを忘れていた。
カカカカッと何本もの矢がジュリーとサエの手前に刺さる。

「あら、弓矢ってこんな所まで届くのね。」

「ちょっジュリー!感心してる場合やないって!はよ前みたいに大鎌で戦ってや!」

「ごめんなさい、今は鎌には出来ないの。」

「えぇっ!!?なんでなん!?」

2人が喋っている間にも、キムーアとナーナリアは攻撃を緩めない。
アキルノアは集中攻撃を受け、非常に苦しそうだ。

「無駄話しすぎたわ。サエ!あなたはナーナリア狙いで攻撃魔法を!
私はアキルノアの回復をするから!」

「えっ!えっ!?あ、わかった!ナーナリアやな!」

サエはすぐに攻撃魔法を詠唱し始めた。

静寂なる清廉の水よ
彼の者に蒼海の戒めを与えたまえ

ワーンスプラッシュ!!


ドシャァアアアアッとナーナリアに大量の水が渦巻いて襲い掛かる。

「くっ!!式符!」

ナーナリアは防御しようとしたが少し遅かったようだ。

「きゃあああああっ!!」

「ナーナリアっ!!!」

キムーアがナーナリアを助けようと気をとられている隙に、アキルノアはジュリーの所まで後退した。

「アキルノア、今治すわ。」

「姫様…ちょいと強い捕縛呪文とかないですかねぇ?」

「あるけれど…少し時間がかかるわよ?」

ジュリーはアキルノアの背に左手を置き、治癒を施しながら答える。

「いいんです。いざとなりゃ風に頼りますよ。んじゃ、行きますか!」

アキルノアはジュリーの治癒によりすっかり完治し、キムーアに突っ込んで行った。
その時、ナーナリアがサエの水魔法を打ち破った。

「うぎゃ!私の魔法が破られてもうたっ!」

「貴女は私が倒させて頂きます…覚悟!!」

完全にサエ狙いでナーナリアはドドドドドッと矢を放ってくる。
サエはあわあわしながらもなんとか杖で弾いたり避けたりしていた。
それを見たジュリーは意外と冷静だった。

「あらあら大変ね、では早く詠唱しましょうか…」

ジュリーは先程アキルノアに頼まれた呪文を詠唱し始めた。

「ふっ回復して来たか。小賢しい奴め。」

「いいだろバーカ悔しいだろ〜!!」

アキルノアはまだまだ余裕に見せようと挑発するが、実はすでに足は限界を超えていた。
目にも留まらぬ速さで双剣を繰り出してくるキムーアの剣筋を必死で避けるアキルノア。

(まずいな…姫様の呪文はまだかっ…)

丁度その時、ジュリーの詠唱が終わりに差し掛かっていた…しかし。

繋げよ繋げ 茨の鎖
螺旋を描いて束縛するは罪の脚
巡れよ巡れ 果てしなき悠久の鎖
罪人たちを拘束せ「これ以上言うな…斬られたいか。」


気配を察知したキムーアが一瞬にしてアキルノアの横をすり抜け、ジュリーの首に剣を向け捕らえていた。

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