Sae's Bible
お支払方法は?
アキルノアに頭を殴られつつ、サエ達は4時間かけてカロラ国に到着した。
3人が見た限りではカロラ国の人々のみが消え去り、建物などを攻撃した痕跡は無い。
サエはカロラ国に来たのは初めてだったので、直ぐさま馬車を飛び降りて辺りを見て「わー何コレぇ!」などとはしゃぎまわっている。
ジュリーとアキルノアが馬車を降りると、おじいさんがぶすっとした顔でお代をくれと言わんばかりにジュリーに詰め寄る。
「あら、何かしら?」
「何かしらじゃないわい!馬車代を払いなされ!
カロラ行きの分とそいつのマズイ蕎麦を食わされた分を足して1万5000リールじゃ!」
「馬車の代金?じゃあこれで。」
「はい」とジュリーは笑顔でゼロがいくつも書いてある小切手をおじいさんに渡す。
しかしおじいさんは受け取らずビリビリに破いてしまった。
「こんな紙切れ役に立たんわ!現金で払わんか!」
「あら私、現金は持たない主義なのよ。」
「何ぃぃいいいっ!?金が払えんのか!!?」
「ですから小切手で…あ!国から私の宝石を差し上げる方がよろしいのかしら!」
「だぁあああっ!!違うと言っとるのがわからんのけぇっ!?わしゃ現金がいいんじゃ!婆さんにどやされるんじゃ!」
とうとうおじいさんがブチ切れてしまった。
しかしジュリーは相変わらず笑顔でおじいさんに応える。
「あら、どうしても金塊が良いのですね?
では私の馬車に乗せて運びますから、住所を教えて下さる?」
「だから現金だと言っとるじゃろうがっ!!」
「いえ、ですから現金とは金塊の事でしょう?」
どうもジュリーの金銭感覚は桁外れにズレているらしい。
「違うと言っとるだろがこのアホがっ!お前は何を聞いとるんじゃボケェっ!」
「あら、酷い口の聞き方ね。いくら目上の方でも容赦しませんわよ?」
「なんなんじゃ、この小娘ぇっ!!とにかくさっさと現金で払わんかっ!」
「何度も言いますけれど、金塊は持ち歩いていませんわ。小切手でよろしいでしょう?」
「なぁにを聞いとんじゃこの小娘はぁっ!小切手なんぞいらんと言うとろうが!現金じゃ!現金で払わんかっ!」
さすがにそろそろヤバイと思ったアキルノアがおじいさんに現金を押し付ける。
「ほら、これでいいでしょ!!」
「チッ…これだから金持ちは好かんわい…。」
おじいさんはブツブツ小言を言いながら直ぐさま馬車で引き返して行った。
「一体何に怒ってらしたのかしら…ねぇアキルノア?」
「ハァっ…姫様、もう先へ行きましょう。どうせ建物の中とか調べるんでしょう?」
「あら、そうね。じゃあ行きましょうか。」
2人は今だにはしゃぎまわるサエの元へ歩きだした。
するとサエは2人に気づき、嬉しそうにこちらに走って来た。
「あ、2人とも!見て見てっ!!さっきリンゴの木ぃ見つけてな、もぎってきてん!」
サエはもぎ取ってきたリンゴをジュリーとアキルノアに見せる。
「あら、美味しそうなリンゴだけれどこれは食べられないわよサエ。」
サエの持ってきたリンゴは実に美味しそうだが、それは毒リンゴだった。
サエは毒リンゴだと知り、残念そうな顔をする。
「なぁんだ。毒なんかコレ。んじゃいらんやん。」
「サエ、仕方ないから捨てて行きましょう。」
「姫様が食べたら危ない所でしたよ〜。さっさと捨てろアポニテ。」
「わかったってば、えいやっ!」
2人に捨てるよう言われ、サエはリンゴをビュッと投げ飛ばす。
その瞬間、ドカカッとリンゴの真ん中に矢が刺さった。
途端にどさどさと落ちるリンゴ。
「矢!?」
「あら、誰かいるようね。それも敵意があるような方が。」
「来ますよ姫様っ!」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!