Sae's Bible
失踪した妹

「そう……ありがとう、話してくれて。今度は…私の番ね。」

サエはしっかりと聞く体勢をとり、ジュリーが話し出すのを待った。
アキルノアはジュリーを見て心配そうにしている。
ジュリーは深呼吸して、心を落ち着けてからゆっくりと話し始めた。

「今から2週間ほど前の事よ。
その日の夜遅くに、妹の部屋から大きな爆発音がしたの。
本当にびっくりするくらいの音だったから、私はアキルノアと一緒に急いで妹の部屋へ向かったわ。
妹の部屋に入ると、妹の女官がね…石になっていたのよ…。
私達は妹が心配になって、部屋という部屋を探したの…。
けれど…見つかるのは石になった護衛の兵士や宮殿で働いている人たち…。
みんな…悲痛な表情をしていたわ。
でもいくら探しても妹はいなくて…。
宮殿内がこんな事になっていたから、お父様や他の人達も心配で…。
そこで私達は手分けして探すことにしたの。
私は妹を、アキルノアは宮殿内で石になっていない人を探しに行ったの。
結局…妹は見つからず、宮殿内で無事だったのは私達以外にはお父様だけ。
何か手掛かりはないかと、妹の部屋や宮殿内を隅々まで調べたの。
そうしたら、見つけたの。
宮殿の玉座の間に…大きな魔法陣が描かれていたわ。
その魔法陣を様々な魔法書で調べたけれど…私達じゃわからなかった。
そこでお父様が魔法に詳しい魔導師に頼ったらどうかとおっしゃったから、私達は魔導師を探す為に旅に出た…。
これで全部よ、長々とごめんなさいね。」

ジュリーは少し辛そうだったが全て話してくれた事がサエにはよくわかった。

「ううん、話してくれてありがとなジュリー。
それで明日はどないすんの?」

「明日の早朝に馬車でカロラへ行くわ。」

「そうと決まれば早く寝ちゃいましょう姫様!!」

「そうね…今までの情報を整理したかったけれど…。
明日にしましょうか。」

「そうですよ。サエとか寝坊しそうですからねぇ。」

「寝坊せぇへんもん!!」


「それじゃ、お休みなさい。」

まだ21時過ぎだったが、サエたちは寝る事にした。

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あきゅろす。
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