Sae's Bible
ブラック降臨。
「しかも!!「アキルノア。」

まだ蕎麦について説明をしようとしていたアキルノアの言葉をジュリーが遮る。
ジュリーはスッと席を立ち、アキルノアにニコッと笑い…

「うふふ…アキルノア、正座。」

そこには黒い笑みをした今までのジュリーでは考えられない黒いオーラをまとったジュリーが立っていた。
アキルノアは凍り付き即座にその場で正座した。

「アキルノア〜、私いつも貴女の料理に対してなんてアドバイスしているかしら?」

「思いつきで混ぜるな、自分で味を確認しろ、
食べられる物を作れです!!」

「そうよねぇ…このどうしようもない物体はそのアドバイスを守って作ったのかしら?」

「守ってますよ!!ちゃんと味見したし、食べられますよ!!」

「サエ〜、貴女は食べられたかしら?私は無理だわ。コレは豚の餌以下よ。」

サエは直感した。
ジュリーに従わないとヤバイ。
実際この料理は本当にまずいから仕方ない。

「まずい…。」

「ねぇアキルノア、貴女本当に味見したのかしら?
さっき味見したと言ったけれど。」

ジュリーが冷たい目で正座しているアキルノアを見る。
アキルノアはジュリーから目を逸らして小さな声で、

「…………してない…です。」

とボソッと答えた。

「アキルノア、私は相手の気持ちを考えない料理の仕方は嫌いよって何回も言ったわね?」

「ひっ姫様、ごめんなさいもうしません許してくださいぃぃいいいっ!!!!!!!」

「アキルノア。私は怒ってないわよ?」

「ほ、本当ですかっ!?」

「怒っているんじゃなくて…楽しんでいるのよ?」

うふふふふふと笑うジュリーは本当に楽しそうだ。

「これだからブラック姫様は嫌いだぁあああ〜っ!!」

「あらあら、浅ましいわよアキルノア♪」

「ブラックジュリーって?」

「姫様の裏人格ですよ…めっちゃドSで人をなじるのが好きな腹黒すぎる姫様。」

「うふふ、サエには見せていなかったものね。驚いたかしら?それとも足蹴にして欲しい?」

「い、いや足蹴になんてして欲しないわ…。」

「姫様、料理の件は謝ります。
ですから元の姫様に戻って下さいよ〜。」

「もう、仕方ないわね。」


ジュリーは目を閉じて一度深呼吸する。
するとさっきまでの黒いオーラも無くなり、冷たい目も優しい目に戻った。

「アキルノア、もう正座しなくていいわよ。ごめんなさいねサエ、驚いたわよね。」

「うん…だいぶ。けどなんでブラックジュリーがおるん?」

「あら、誰だってストレス発散するでしょう?裏の人格はそれと同じよ。」

「同じなもんですか!姫様のはただの二重人格!!ストレス発散なんてどっちの人格でもやってるでしょが!!」

アキルノアは正座を崩して足をマッサージする。
どうやら足がしびれたようだ。

「まあ、わかってたのアキルノア。偉くなったわねぇ。」

足がしびれて座り込んでいるアキルノアの頭をふふふと笑いながら撫でるジュリー。

「えっと…ブラックジュリーの時にした事をジュリーは覚えてんの?」

「ええ、覚えているわよ。だって私の押し込めている感情が人格化したようなものですもの。
裏の私も普段の私の一部分なのよ。」

「つまり、普段は控えめにSで裏はオープンにドSなんですよ姫様は。」

「それじゃどっちもSやん。」

思い返せば控えめにSだったような気がする…アキルノアに対して。

「さて、ちゃんとした晩御飯を食べましょうか。」

そう言ってジュリーはキッチンに向かい、アキルノアが使わなかった材料を使って料理を作ってくれた。
アキルノアの話しではジュリーが手料理を振る舞うのは珍しい事らしい。
しかしジュリーに聞くとアキルノアがいつも勝手に台所を占拠するから作れないのだそうだ。
まぁ…そんなこんなでジュリーの料理をお腹一杯食べて片付けをし、3人は少し休憩していた。

「あら、もう20時なのね。
明日も早いから寝ないと。」

ジュリーは壁時計を見てそう言った。

「明日なんかあるん?」

「いえ…まだ決めてないんですけど、ここに居ても仕方ありませんし。
……早く妹を探さないと…。」

「あ!!姫様その事なんですけどね。
今日の調査結果によると、妹姫様はどうやら消失事件に関わっているようです。」

「消失事件てセントレードとかの事件?」

「そうその事件。
この宿に泊まってた商人に聞いた話しでは、一週間ほど前にカロラ国で妹姫様らしき人を見た気がすると言ってました。」

そういえばなぜジュリーが妹を探しているか知らないな…とサエは思い、ジュリーに聞いてみることにした。

「ジュリーの妹さんて、なんでおらんくなったん?」

「なっ!!姫様にそのことを聞くな馬鹿!!」

「いいのよアキルノア。
サエもこれから私達と行動するのだから知るべきよ。
サエ、その代わりエデンであった事を話してくれる?」

「うん、わかった。」

サエは自分の知っている限りの事をジュリー達に事細かに話した。
エデンの人たちの事、消えた兄と弟の事…全てを話した。

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あきゅろす。
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