Sae's Bible
魔導師になるために

「ん〜…今日は店番で疲れたなぁ〜。
でも杖の手入れしとかんと。」

机横の壁に立てかけた杖を手にとる。
小さい頃、お兄ちゃんからわがまま言って譲って貰った杖。
確か3女神の1人が持っていた杖に似せて作ったから、
『天地創造の杖』って名前になったらしい。

杖をピカピカに磨いて、潜在魔力を高める精神統一をする。
昔、お兄ちゃんに精神統一を教わってからずっと続けてる。


『私たち魔導師はオリジン魔法を使えるんだよ。
オリジン魔法はね、魔導師しか使えない魔法で、自分の魔法を生成出来たりする凄い魔法なんだ。
でも自分の魔法を生成するには魔法の基礎や呪文の構成を理解して、魔法を具体的に想像しなきゃだめだよ。
それよりも先に、サエがしなきゃだめなのは精神統一。
精神統一して、潜在魔力を高めて魔力を沢山にしないと大きな魔法は作れないからね。』


私がまだ小さかったから、だいぶ省略して簡単に説明してくれたお兄ちゃんから初めて教わったこと。
でもこのことを知ってから、魔導師を目指す事にした。
まだ自分の魔法を生成できないけど、私は絶対諦めない。

「ふぅ…精神統一終わり。
あーさらに疲れちゃった。
もう眠いけど…魔法の練習しよう。
早く新しい魔法覚えないと。
あと苦手な回復魔法も練習しなきゃな〜。よし!」

サエが遅くまで魔法の練習をしている頃、カズヒルムはタケシミアと話していた。

「……………………って訳だからタケシミア、サエには秘密だよ。頼むね。」

「兄さん、姉さんは…悲しまないかな…?」

「大丈夫、サエならやれるさ。
だからタケシミア、明日は必ず成功させよう。
そして明日の夜には必ず、ちゃんとサエの元に…この家に帰ろうな。」

「うん、当然だよ兄さん。
姉さんが悲しむのは絶対に嫌だからね。」

2人はそう話し合い、それぞれの部屋へ戻った。


―この時、歯車が回り始めたとも知らず……―




[*前へ][次へ#]

5/7ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!