Sae's Bible
気がつかない

3人でお昼ご飯を済ませて片付けてから、サエはまた店をOPENにして店番をしていた。

「ひぃぃぃぃまぁぁああっ!!」

店を開けてからお客さんが全く来ない。
退屈すぎて今にも寝そうだ。

「あーあ、全然お客さんけぇへんやんかぁ〜。」

それでもお店を開けておかないと収入がなくなってしまう。
つまり、明日の晩御飯に困ることになる。
ご飯が無くなるのは嫌なサエは仕方なく、お客さんを待ち続けた。



―4時間後。



「……ひまぁああっ!!!!」

あれからお客さんはちらほら来たが、その客足も3時間前にぱったりと途絶えたまま。
外も薄暗くなってきていて、なんだかもう誰も来そうにない。

「………もう閉店ってことでいいかな…」

今日はお客さんは少なかったが買っていくものが多い人が結構居たし、高価な薬が6瓶も売れた。

「えーと今日の売り上げは……お!なんと5万リール!!
……閉店でいいかな…いいよね…もう夜やし。」

ブツブツいいながらサエは店のカードをOPENからCLOSEにすると、カウンター周りを整理し始めた。

「あ、姉さん何勝手に閉店してんの!!」

後ろからタケシミアに怒鳴られて、あちゃーと振り返る。
しまった、タケシミアは仕事熱心だからこういう事したらすごく怒る。
サエが怒られるのを覚悟して黙っていると…

「まぁ…今日はいいよ。もうみんな来ないだろうから。」

「えっ!?いいの!?どうしたんタケシミア病気!?」

「…違うよ。あ、姉さんもう店はいいから晩御飯食べよ。」

タケシミアはそう言うとさっさとリビングへ行ってしまった。
タケシミアの様子が少し変だったけどサエはあまり気にしなかった。
店の明かりだけ消してすぐリビングに行くともう晩御飯はできていた。
しかしそこにカズヒルムの姿はなく、キッチンにタケシミアが居るだけだった。

「あれ?タケシミア、お兄ちゃんは?」

「今日はいらないって。僕はもう食べたから、姉さん早く食べちゃって。」

タケシミアの機嫌が悪い。
あまりない事だけど、タケシミアの機嫌が悪い時に理由を聞き出そうとしたら拗ねる。
だからサエは何も言わず、黙々と晩御飯を食べると2階の自室へ向かった。
丁度階段を上りきった所でカズヒルムに鉢合わせた。

「あ、お兄ちゃん晩御飯出来てたで?ほんまにいらんの?」

「…………いらない。
サエ、もしだけどな…もし自分が凄い魔力を秘めていたらどうする?」

「へっ?…う〜ん…嬉しい…かな?」

「嬉しいから…何をしたい?」

「したい事?…え〜と…あ!学校つくりたいかも!でもお店やりたい気もするし…」

「そうか…頑張れよサエ。」

カズヒルムはサエの頭を優しく撫でるとすぐに、1階に降りて行った。

「どうしたんやろお兄ちゃん。
なんか元気なかったな。あ、実験失敗したんかな。」

サエはカズヒルムの様子にあまり気にせず、自室に入った。

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