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宝石強奪殺人事件
沙里奈はどんな人が来るのか期待して待った。
数分後、真っ赤な軽自動車に乗って、二人の男が現場に到着した。
一人は長身で白髪、左側のこめかみ付近の髪を刈り上げ、他の部分はだいたい7:3に分けられ、右目に少しだけかかっている。なんとも妙な髪型である。黒いスーツに身を包み、腰には拳銃をぶら下げている。雰囲気は東に似ていた。だが、この男の方が優しい目をしている。
もう一人は気弱そうな顔つきで、髪を鶏冠みたいに立てている。歳は20歳前後で、身長は165センチメートルくらい。紺のぶかぶかのスーツを着て、耳には虎のピアスを着けている。少しでもワイルドに見せたいのか、スーツの前は全開だ。
「よっ、陸。久しぶりだな。今日はどんな事件だ?」
白髪の男が大沢に歩みより、親しげに話をしている。もう一人の男はどうしていいのか分からない様子で、あたふたしていた。
白髪の男は大沢としばらく話をした後、沙里奈に気づいた。
すると、白髪の男は沙里奈に歩みより、隅から隅まで沙里奈を見て、こう聞いた。
「お前さん…、新入りか?ずいぶん初々しいが。」
沙里奈は畏まってそれに答えた。
「は、はい。先週から特殊刑事課に配属されました、木村沙里奈といいます。よろしくお願いします。」
沙里奈はこの前と同様に、深々とお辞儀をした。それを見た白髪の男は、ニコッと微笑みながら、こう言った。
「そっか。俺は沢本嵩俊。元々刑事だったんだけど、色々あってやめたんだ。今は探偵やってるよ。よろしくな、沙里奈ちゃん。困ったときは力になるぜ。いつでも連絡くれよな。」
そう言うと沢本は気弱そうな男を呼び寄せ、沙里奈に挨拶をさせた。
「どうも…。俺は松井蓮っていいます。一応、沢本さんの助手やらせてもらってます。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
沙里奈はそれに笑みを加えて返答した。
挨拶が済むと、沢本に「事件の概要を教えてくれ」と頼まれたので、沙里奈はメモ帳を取りだし、概要を伝えた。
「え〜、犯人の目的はおそらくライトクリスタルの強奪。犠牲になったのはこの宝石店の店主、佐々木奈帆さん(45)、従業員の岩本すみれさん(23)、中川利香子さん(26)、田中有美さん(25)の計四名です。」
それを聞くと、沢本は少し首をかしげ、何かを考え始めた。
少したってから、沙里奈は沢本に、証拠物品について聞かれたので、監視カメラの映像を見せた。
すると沢本の表情はみるみるうちに強ばり、さらに小声でこう呟いた。
「ついに…始まってしまったか…。」
沙里奈はその意味を沢本に尋ねてみた。だが、沢本はただ首を横に振るだけで、沙里奈の問いには答えなかった。
仕方無いので、沙里奈は松井に話を聞いた。松井はまだ監視カメラの映像を見ていなかったので、なんだか分からない、と言って、沙里奈を退けた。
そこで、沙里奈は松井に無理やり監視カメラの映像を見せた。すると、松井は目をまんまるにして驚き、「嘘だろ…」と呟いた。さらに松井は小声で続けた。
「こいつは…、本田…一樹。」
沙里奈はその名前に、聞き覚えが無かった。

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あきゅろす。
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