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宝石強奪殺人事件
沙里奈は驚かずにはいられなかった。
「こ、ここがですか?」
沙里奈の反応は当然だ。固く閉ざされた鉄の扉は、凶悪犯罪者を隔離するかの様相である。白い文字で書かれた『特殊刑事課』も、何か寂しげな雰囲気を醸し出している。
大沢はそんな沙里奈を横目で見て、何事も無かったかのようにその鉄の扉に近付き、暗証番号を入力した。すると、扉はプシューという音を立てて開いた。
大沢は沙里奈に向かって忠告するように言った。
「木村、気を付けろよ。今から会うやつらはお前が知らない道を歩んできたやつらだ。間違っても、同じ道には入るなよ。」
沙里奈はその言葉を重く受け止め、小さく返事をして、大沢のあとに続いた。
部屋の中には五人の人がいた。
男が三人、女が二人だ。大沢が軽く挨拶をすると、全員がそれに返した。そのあと、特殊刑事課の五人の内の一人が大沢に質問をした。
「大沢さん、後ろの女の子って誰?もしかして彼女とか?」
大沢はうんざりしたようにその男の問いに答えた。
「紹介しよう。彼女は今日付けでこの特殊刑事課に配属された。木村、自己紹介を頼む。」
沙里奈は大沢の振りに返事をし、五人の方に整体した。
「今日付けで特殊刑事課に配属されました、木村沙里奈といいます。よろしくお願いします。」
沙里奈はその後、深々とお辞儀をした。五人の内、四人はなんだかがっかりしたような表情を浮かべていた。一人の男は大きな拍手をし、「よっ。日本一。」などと言って、ふざけている。
その男はいきなり立ち上がった。意外と身長が高く、スラッとしている。歳は20歳くらいだろうか。髪は茶髪で、いかにも軽そうな雰囲気だ。その後、その男はこう言った。
「じゃあじゃあ、俺らからも自己紹介しようぜ。まず俺からな。俺は森岡紘斗。よろしくな。」
「私は村上莉子といいます。よろしくお願いします。」
森岡の次に自己紹介をしたのは、大人しそうで、眼鏡をかけた黒髪ショートの女の子だった。
「次は俺か。俺は藤田宣尋。よろしくな、嬢ちゃん。」
三人目は関西弁の男だった。アゴヒゲを生やし、髪は金髪で無造作スタイル。右目はつぶれていて、開かない。おそらくそこを通過する傷のせいだろう。ガテン系というところか。
「俺は東龍聖。“ひがし”じゃなくて、“あずま”だからな。よろしく。」
四人目はさっき大沢に質問をした男だ。髪をツンツンに立てている。目付きが悪く、パッと見、不良だ。学ランを短ランに改造して着ている。腰には常に拳銃が装備してあり、それだけで寒気がするような格好だ。
「最後ね。私は石田陽菜。よろしくね、木村さん。」
最後の人は茶髪でショートヘアの活発そうな女の子だった。女の子というよりは男の子に近い。ボーイッシュというか、もはやマニッシュという感じだ。
沙里奈は五人にもう一度挨拶をした。すると、森岡がニコッと笑って言った。
「ようこそ、特殊刑事課へ。」
沙里奈はそれに笑みを返して、特殊刑事課の一員になったことに嬉しさを覚えたのだった。

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あきゅろす。
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