水色の雨U 放課後になり、教室から一人、二人と帰っていった。 あ〜あ、退屈だな。 そんなこと思ってるのは私だけなのかな。はぁ、刺激が欲しいな〜。 ふと外を見ると、昼間の野球部の彼が土砂降りの雨の中、グラウンドを走っていた。 彼は頑張るなあ。そんな努力なんかどうせ報われないのに。 彼は土砂降りの雨の中でも走ることを止めなかった。 私は心配になったのでグラウンドに出て、 「風邪引くよ〜!」 と言った。 彼はこちらを見たが走ることは止めなかった。 もう。心配してあげてるのに。早くやめなさいよ。 「本当に風邪引くわよ〜。」 彼はこちらに走ってきた。 「ご心配ありがとうございます。ですが自分、少しでも上手くなりたいんです。」 「なんでそんなに頑張るの?」 「絶対にレギュラーをとるためです。」 彼の眼差しは強く、真っ直ぐだった。 ああ、彼には本当の目標がはっきりと見えているのだ。すごいなぁ…。 それに比べて私は… だらだらと毎日を消化し、行動するわけでもなく、ただ生きてきただけじゃないか。 「ありがとね、君。」 私でも変われるかな。 いや、変わらないといけないな。 決意の日の雨は透明ではなく、水色に見えた。 ―終― [*前へ][次へ#] [戻る] |