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サイコパス麻里奈
幽霊と俺の共同生活四十六日目


鏡花の葬儀がとり行われた。
出席した人は全員、その早すぎる死を哀しみ、悔やんだ。そして人目もはばからず、大粒の涙を流し、泣いた。
遺影の鏡花は微笑んでいて、俺はそれを見るたびに感極まって涙があふれそうになった。
「私、帰ります。」
そんな中でも麻里奈は相変わらずマイペースで、政宗さんに帰ると言ってだだをこねている。幸村さんも政宗さんに加わっていさめているが、麻里奈は聞きもしない。
「このような辛気くさいものは嫌いです。」
そう言うと廊下へ出て、早足で帰っていった。
俺はなんだか鏡花に申し訳なくて、巧斗と一緒に麻里奈を連れ戻しに行った。


「麻里奈!」
「麻里奈ちゃん!」
俺と巧斗は帰ろうとする麻里奈を呼び止めた。麻里奈は振り返るとパアッと顔を輝かせた。
「遊様ではありませんか。どうかしたのですか?」
「どうかしたのか、ってお前…。不謹慎すぎるぞ。鏡花とは友達だっただろ。しっかり弔ってやらなきゃいけないだろうが。」
俺は麻里奈を注意した。すると麻里奈は不思議そうな顔をして言った。
「そういうものでしょうか?私はいまいち理解できません。鏡花さんは辛気くさいものはお嫌いでしたのに。」
「でも、日本のしきたりだから。」
巧斗も麻里奈に注意をうながした。だが麻里奈はそれを簡単に受け流し、こう言った。
「私は他人が死んだことなどあまり気にしません。他人は他人、自分は自分。そういうものではないでしょうか。人間はいつでも孤独なのです。私とて、政宗や幸村のような側仕えはおりますが、所詮は孤独なのです。鏡花さんも、一人で死んでいったのですよ。」
麻里奈は冷たく言いはなった。俺はその言葉に苛立ち、いつの間にか麻里奈の胸ぐらをつかんでいた。
「ふざけんなよ!鏡花のことにまでふれやがって!お前はサイコパスか!?少しは人の心を持てよ!クソ野郎!」
「月神くん!」
巧斗に止められ、ようやく我にかえった。目の前の麻里奈は怯えている。いつもと違い、ものすごい剣幕で怒ったからだろう。今にも泣き出しそうだった。
「悪い、言い過ぎた。」
俺は麻里奈に謝って、その場を去った。巧斗もそれに続き、鏡花の葬儀会場に戻った。


麻里奈は自分のなにが悪いのかわからず、ただ遊人を恨んでいた。その逆恨みがこのあとの大事件を引き起こす原因になってしまうことは、その時は誰も知らなかった。


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