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いつもの休日
幽霊と俺の共同生活三十八日目


朝7時。
咲夜は土曜日ながら、いつもより早起きしていた。
「今日は何をしようかな〜♪」
咲夜はいつもよりも何だか機嫌が良かった。その理由は昨日の夜のことだろう。
昨日の夜、俺は咲夜と仲直りをすることができたから、二人でゲームをすることにした。そのゲームとは、超人気の格闘ゲーム、「鉄壁」シリーズの第七弾だ。俺は元々、格ゲーは得意な方ではない。だが、咲夜は初体験ということもあり、前半は俺が咲夜を圧倒していた。
だが、後半になればなるほど、咲夜はやり方とコツを覚え、俺はだんだん勝てなくなっていった。俺は少しだが、苛立ってしまった。
ゲームを終えると、咲夜は満足そうに笑いながら、
「ありがとね、遊人。」
と言った。俺はそれに笑顔で返し、眠りについた。


ガバッ!
目が覚めると時計の針は午前9時を指していた。
「まだ9時かよ…。もう少し寝よう。」
俺は眠い目を擦りながら、再び布団を被った。
「はい、起きて!」
一分とたたないうちに咲夜に布団を剥ぎ取られた。
「何すんだよ〜。」
「もう朝だよ。早く起きて起きて!せっかく作ったご飯が冷めちゃうよ。」
「はぁ!?まだ9時だぞ。たまの休みくらい寝させてくれよ…。」
「ダーメ。せっかく作ったご飯なんだから食べてよ。」
「いいよ、いらない。」
「ふーん。あーあ、せっかく遊人が大好きなハムエッグ作ったのになぁ…。残念だなぁ…。しょうがない、私が全部食べよっと。」
「何っ!!ホントか、それ!!」
「うん。ホントホント。」
「じゃあ行く。着替えるから先いってていいぞ。」
「あ、待って。私も着替える。」
「お前が?幽霊なのに?」
「私だって着替えくらいするわよ。だって、毎日同じ服なんて耐えられないじゃん。」
「ま、まあな…。」
「でしょ?だから私も着替える。いいよね?」
「う…、まあな。」
「ありがとね、遊人。」
そう言うと咲夜はおもむろに上着を脱ぎ始めた。俺はかなり焦った。
「ちょっと待て!今部屋から出るから。」
「居ていいよ。その代わり、こっち向いちゃダメだからね…。恥ずかしいから…(照)」
「あ、当たり前だろ!」
俺の言葉に咲夜は微笑んで着替えを続けた。

五分後、咲夜は着替えを終えた。
「お待たせ、遊人。もうこっち向いていいよ。」
「お、おう。」
振り向くとそこには私服姿の咲夜が立っていた。俺はびっくりした。そこに居る咲夜はアイドルのように可愛かった。まるで別人だった。
俺は不覚にもドキッとしてしまった。この時、咲夜に対する想いが変わったのかもしれない。

とにかく、その日一日は俺は咲夜とまともに話すことが出来なかった。



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