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最高の仲直りの方法
幽霊と俺の共同生活三十六日目


「はぁ…。」
まだ朝だというのに溜め息しかでてこない。咲夜は今日は留守番だ。
昨日の夜は散々だった。俺は初めて咲夜と喧嘩した。その理由はすごく些細なことだった。夕飯のおかずのことである。
昨日の夜は俺が久しぶりに料理を作った。約三ヶ月ぶりだから味は保証できない、と咲夜には伝えたはずだった。だが、
「まずっ…。何これ、ほとんど生じゃん。これもちゃんと切れてないし。あれも、これも…。」
咲夜はズバズバと俺の料理に文句をつけた。「仕方無いだろ。」と俺が言っても聞く耳を持たない。言いたい放題言ってくる。俺はだんだんイライラしてきた。そして、その後の咲夜の一言が俺を完全に怒らせた。
「私が作った方がいいね。」
許せなかった。確かに不味かったが、一生懸命作ったものをあそこまで否定されたのだ。誰だって怒るだろう。
俺は箸をテーブルに叩きつけ、まだ半分以上残っている自分の食器を片付け、部屋にこもった。咲夜はその夜は俺の部屋には来なかった。
今朝になっても咲夜は謝ろうともしない。それどころか現れもしなかった。
そのまま俺は学校に来た訳である。だから溜め息しかでてこないのだ。


昼休み、朝からずっと溜め息をついている俺を不審に思った鏡花が話しかけてきた。
「どうかしたの?」
俺はどんな表情をしていたのかわからないが、鏡花は少し引いていた。
「いや、何でもない。はぁ…。」
「何でもないわけ無いでしょ。何よ、その溜め息。誰かと喧嘩でもしたの?」
「なんで分かるんだ?」
「あれ、図星?」
「まあな。あれ、鏡花って俺に憑いてる幽霊のことって知ってたっけ?」
「まあ、少しはね。」
「ならいいや。実はな…。」
俺は鏡花に昨日の出来事をすべて話した。そして、一息つき、「どうすればいい?」と鏡花に尋ねた。
鏡花は少し考えて、こう言った。
「まあ…、女の子との喧嘩だからね…。どっちが悪いにしても遊が謝るべきじゃない?男なんだし。」
「なんだよ、その理論…。俺は謝りたくないんだよ。」
「でも、まさか女の子に謝らせるべきじゃないでしょ?」
「そういうもんなのか…。」
「まあ、格好つけるならね。恋愛経験が少ない遊には分かんないと思うけど。」
「ふーん。じゃあ今夜謝ってみるよ。ありがとな、鏡花。」
「うん。ちょっと格好つけすぎだけどね。」
「うるせぇよ(笑)。」


その頃、咲夜は想い出の多い町を散歩(?)していた。昔と変わらない風景を見ながら、咲夜は寂しそうに呟いた。
「もう…、時間が無い…。」

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あきゅろす。
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