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俺たちの家庭教師
幽霊と俺の共同生活三十二日目


俺は起きて即時に理解した。
「寝過ごしたーーーー!!」
時計の針は既に午後2時を示していた。
「マジかよ…。今日は課題やらなきゃいけないのに…。」
「あ、起きたんだ。おはよう遊人。」
扉から咲夜が入ってきて、のんきに言った。いつもと違って、制服ではなく、私服姿だ。
「お前、先に起きてたんなら俺のこと起こしてくれよ。今日は課題やるって言ってたろ。」
「起こしたよ。でも起きなかったじゃん。」
「う…。それなら仕方無いけど…。てか、お前、その格好何だよ。いつもの制服はどうしたんだよ。」
「え〜と、お洗濯…かな?」
「何で疑問形なんだ。おかしいだろ、絶対。」
「だって、知らない人がいきなり訪ねてきて、私の服を取り替えちゃったんだもん。前の服がどうなったかなんてわかんないよ。」
「嘘が見苦しいぞ。」
「本当なんだって。」
「どんなやつなんだよ。お前の服を取り替えたやつって。」
「それは俺のことだな。」
部屋の扉の向こうからいきなり声がしたかと思うと、扉が開いて男が入ってきた。
「俺は、元死神のジュード。こっちでは下川集となの゛っ!?」
「てめえ、ずいぶん大胆な泥棒じゃねぇか。」
ジュードが言い切る前に俺の飛び膝蹴りが炸裂した。さらに俺は倒れたジュードの上に足を乗せ、踏みつけた。
「ちょっ、あの…。話だけでも゛っ!?」
「黙れ。こそ泥はとっとと家に帰りやがれ。」
「だから…、こそ泥じゃな゛っ!?」
「何言ってるか知らんが、とっとと帰れ。」
「じゃあ足どけてくれよ!起き上がれねぇじゃん!」
「ああ、そういやそうか。じゃあ誓え。二度と泥棒はしねぇって。」
「しねぇよ!」
俺はよし、と言ってジュードから足をどかした。
ジュードはふぅと一息つくと、向き直って挨拶をした。
「俺は下川集。ジュードってよんでくれ。ちなみに、俺は元死神だ。」
俺と咲夜はジュードを侮蔑の目で見た。理由は簡単。こいつ、中二病だ…、と思ったから。ただそれだけだ。
ジュードはさらに話を続けた。
「俺はそこの女を殺した死神だった。以前、この女の存在が無くなる、という話があっただろう?それは俺が水町魁生に知らせた。」
「はぁ…、すごいですね…。」
俺も咲夜も微妙な反応だ。咲夜に至っては理解しようとすることすらしなかった。
「微妙な反応だが…、まあいいか。俺は来週からこの家の専属の家庭教師になることになった。」
俺は驚きを隠せなかった。「えっ、マジで?」
「ああ。明日からよろしくな、月神クン、咲夜サン。」

こうして俺と咲夜に中二病の家庭教師がついた。

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あきゅろす。
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