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アニメ原作のゲームを買うとき、知り合いとばったり会うと、たとえ内容が普通でも買いにくい
幽霊と俺の共同生活三十一日目


昨日約束したので、それを破るわけにはいかず、今日は朝からゲームショップにやって来た。
土曜日とはいえ、朝早いので人の入りは良くない。店内には何人かの客がいるだけだった。
「え〜と、イノセントクライン、イノセントクライン…。」
俺は咲夜と一緒に咲夜が欲しいと言っていたゲームを探した。まだ発売した次の日なので初回限定版は買えるだろう。よほどの人気作じゃなければ…。
「遊人〜、こっちこっち。」
咲夜が奥の方で手招きをしている。俺はそこに向かった。
「あったのか?」
「いや、違うやつ。『カスタム・クエスト』ってやつなんだけど、ずっと欲しかったんだ。」
「『カスタム・クエスト』なら、巧斗が持ってるぞ。後で貸してもらうから。」
「は〜い。」
「一人で何しゃべってるの?」
背後から声がした。びっくりして振りかえると、そこには私服姿の鏡花が立っていた。
「うおっ、鏡花!?何してるんだよ、こんなところで。」
「こっちの台詞よ。何であんたがこんなところにいるのよ。あんたゲームとかあんまりやらなかったでしょ。」
「う、うるさいな。その…、巧斗に頼まれたんだよ。」
「ふーん。」
「お前は何をしに来たんだよ。」
「私は借りていたDVDを返して、新しいやつを借りに来たの。今日中に見て、明日には返すの。」
「そ、そうか。じゃあな。」
「あっ、待って、遊。私もそれ、探すの手伝うわ。」
「ああ、サンキュー。イノセントクラインってやつだから、よろしくな。」
「イノセントクラインね。了解。」
こうして、咲夜と鏡花と俺の三人はゲームを探した。

「あった…。」
3分ほど探し、やっと見つけた。
「あったの?」
咲夜と鏡花が近寄ってきた。俺が自信満々にそれを見せると、咲夜は嬉しそうに笑い、鏡花は複雑そうな顔をした。さらに鏡花はこう言った。
「遊…、あんた…、アニメオタクだったんだ…。」
「違う!さっきも言ったろ、巧斗に頼まれたって。」
「ああ…、うん。そだね…。」
しばらく沈黙が続いた。咲夜は空気を読まずに嬉しさのあまり踊っていた。よほど嬉しいのだろう。キラキラと輝く笑顔は、俺が意を決して買った作品を開けてから、いっそう眩しくなった。
だが、それと正反対に鏡花の顔は何とも言えない、中途半端な表情になっていた。

俺は今日、咲夜からの好感度は上がったかもしれないが、鏡花からの好感度はガクッと下がったと確信した。

さらに、何か大事なものを失った気がした。

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