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多忙な日

バタバタバタ。
先程から人が行ったり来たりして落ち着きのないこの部屋―叶香(キョウカ)学園の生徒会室に、圭一は会長の席に座って黙々と書類にはんこを押していた。

「圭ちゃん、これもはんこ頼むー!」

忙しなく動き回る人達の中からひょっこりと俺の前に現れ話し掛けてきたのは、同じ生徒会の後輩、坂口翔太だった。俺は翔太から書類を受け取ると、すでに山と化している書類の上にそれを重ね、浅くため息をついた。

「疲れてるみたいだけど、手伝わなくて平気?」

翔太の優しい気遣いについ甘えたくなったが、やはりこれは自分の仕事。疲れてるいるであろう翔太に手伝わせる訳にはいかない。

「いや、大丈夫だよ翔太。ありがとな」

そう言って次の書類にはんこを押そうと書類の山に手を伸ばそうとすると、いきなり横から手が伸びてきて、圭一の横に積んであった書類が全て持ち上げられた。

「たまには人を頼れ、圭一」

「雅人…」

そこに書類を抱え立っていたのは、副会長でもある堺雅人だった。

「これは俺がやっておくから、お前は体育館の準備にでも行ってこい。ずっと座りっぱなしだったんだから息抜きにはなるだろう」

「あ、ありがと、雅人…」

俺がそう言うと、雅人は気にするなとでも言うように、柔らかな微笑を浮かべた。

「ならオレと一緒に行こっ!」

急かすように翔太に腕を引かれ、立たされる。

「わかったわかった、なら雅人、後頼むな」

「ああ」

そして俺は雅人に残りの仕事を代わってもらい、翔太と共に体育館へと向かうことにした。


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