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「亀…ッ‥会ぃ…ッ、い‥―」
「なーに泣いてんだよ」
「っ‥‥か、め…」
鉄柱の向こうのブランコに
亀が座っていた
「もう泣かないでよ…」
「っスーツ‥ちゃんと着なくて、ごめんッ…」
「もういいよ‥?」
「謝らせてばっかりでっ‥ゴメッ…」
「もういいって。それより笑ってよ…」
亀が笑ってって言うから笑ってみたけど、上手く笑えてんのかよくわかんない。
やっぱり堪えきれなくて、歪みそうになったから俯いた。
「うん…大丈夫。仁、愛してるよ…」
「っ‥グズッ、俺もっ‥愛して‥‥」
顔を上げた時
そこに亀はいなかった。
月光で明るくなっていた公園が、また少し暗くなる。
「亀…ッ」
満月が少しの間だけ、俺に味方してくれたのかもしれない。
笑って
亀にそう言われたけど
今だけは
君を想って泣かせてください。
この月の
明かりの傍で…
end.
material:KODA KUMI/Moon crying
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