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「うん。今日はいつもより体調もいいみたいだし。いいよ、外出しても」
「はいっ。あの…先生?」
「うん?どうした?」
「一人で、出掛けてもいいですか?」
「和也君っ‥」
「お願いしますっ。一人になりたいんです…。」
「……いいよ」
「先生っ!」
「ただし、30分以内に戻ってくること。いいね?」
「はいっ。」
そして俺は、一人で車椅子を押して向かった。
「先生?」
「はい?」
「ホントに大丈夫なんですか?」
「和也君なら大丈夫だよ」
「ホント和也君には弱いんですから。…ね、中丸先生?」
「はははっ(笑)」
今は9月の末。
まだ9月の末だっていうのに、一際寒い日だ。
俺は一人で車椅子を押して、あの金木犀の前まで近づいてきた。
「はぁ…歩きたいな……」
そう呟いた俺は車椅子をすみに置いてゆっくりと立ち上がった。
小さい頃、この河原でお父さんとよくキャッチボールをしてた。
大きくなったら野球選手になるんだってお父さんに約束したけど、もう無理だな。
「っはぁっはぁっ‥ッ…やっぱり‥ハァ…しんどいなっ……」
金木犀の木に手を着いて、荒くなった息を落ち着かせた。
見上げれば、小さな橙色した可愛い花が甘い匂いを漂わせながら沢山咲いていた。
思わず口の両端が上にあがる。
その時
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