page1 ―コンコン 『KAT-TUNさんもうすぐ本番でーす』 「はーい」 聖が大きく返事を返した。 俺達は今某生歌番組の本番にこれから向かうところだ。 いつもの様にメイクをし、いつもの様に髪を整え、いつもの様に衣装を纏う…。 まぁ、普通。 俺は…ね。 「亀っ、かぁめ!」 「ん゛ぁ〜…ハァッ…ッ‥ぅん…――」 覚束ない足。 眉間に皺。 浮腫んだ顔。 そう、亀は只今高熱真っ最中。 点滴を打つ暇もなかった亀は、今己のみを信じてウイルスと闘ってる。 立ち上がった亀はふらついて転けそうになったが、側にいた中丸と聖が慌てて支えて間一髪だった。 「あっぶねぇ〜‥」 「っ…ごめ‥」 「いや、いいけどさ…お前こんなんでマジで出んの?」 「……出るッ」 「でもこじらせてドラマとかに響いたらさぁ」 「大丈夫だって!…考えてるからッ‥」 「っ……」 中丸も聖も、田口も上田も、亀の言葉を聞いて心配な様な困った様な顔をした。 「…亀が言ってんだから大丈夫っしょ」 「赤西っ」 「お前他人事じゃ」 「お前等だって散々わかってんじゃん?亀の性格。」 「仁…」 風邪でトロンとした瞳で俺を見た亀に、俺は軽く頬笑んでコクッと頷いた。 . [次へ#] |