page2 それから本番に入ってmihimaruGTさんの曲に入った。 アナウンサーさんの曲紹介が終わって、ステージ以外の明かりが消える。 そして優しいメロディが流れ始めた。 「じん……」 「ぅん…ん?え?」 テレビに出てるときは絶対に下の名前を呼ぶことがないアイツが、隣で自然と口にした。 俺は一瞬狼狽えてしまった。 「っ…ハァッ‥肩貸して…ッ」 「ぇ…」 俺の返事を聞かずに、亀は俺にもたれてきた。 「っおぉ…」 俺は遅れて返事をした。 何なら膝でもいいけど?と言ってやったら、軽く笑ってもたれたまま首を振り、すぐ起き上がれないから。と言った。 「亀…?」 「なに…?」 「手ェ握っててやろうか?」 「……うん」 キュッと握ってやると、いつもより温かい温度が伝わってきた。 亀はハァっと短い溜め息を吐くとゆっくりと目を閉じた。 滅多に見せない一面を、こんな場所で見せられるなんて思いもしなかったから思わず笑ってしまった。 「っ…?何笑ってんだょ」 「(笑)…何でもないっ」 そう言うと、ほどけかけた手をもう一度強く握りなおした。 END. [*前へ] |