page1 強烈な腹筋さ Six Packなんだ いくらでも打ちなよ 重たいの打ちなよ また恋に 脅されている ──Six Pack あの日から 俺は脅されても ゆすられても みじろぎしない 六つに割れた 腹筋のような 強い心でいることを 誓った ♪〜♪〜… 「ん゛〜…誰だよ」 気付けば時刻は深夜2時。 机の上に突っ伏しながらいつの間にか眠ってしまったらしい。 携帯が鳴り響く音で目が覚めた。 目が覚めて、電話の相手を確認すると 着信:亀 体の奥から、 大きくドクンと波打った。 さっきまでの不機嫌はどこへやらな感じで通話ボタンを押す。 我ながら単細胞だと思う。 「もしもしぃ〜…?」 『ぁ、…ごめん、寝てた?』 「あ〜うん。でも電話くる前に目ぇ覚めたから」 『そっか……』 「それよりどした?久しぶりに電話とか…なんかあった?」 『…ぅん、まぁ……』 「……ぴぃとなんかあった?」 『っ…あのさぁ…赤西ん家、行ってい?』 ─ドクンドクンドクン 鼓動が速くなる。 きっと今 亀を見てしまったら 今の幸せを無視して 本能が暴走しだして 理性が効かなくなる。 「ごめん」と言って 電話を切らなきゃ いけないのに、 口唇は勝手に Yesと答えた。 「いいよ」 『じゃあ、今から行くね…ごめんな、夜遅くに』 「へーきへーき。──うん、じゃね。………はぁ……‥‥俺、何やってんだろ。」 ―コンコンッ 「っ!?」 まさかと思いながら 玄関のドアをゆっくり開けた。 ―ガチャ… 「っ……かめ…」 「ダメって言われたら、どうしようかと思った」 力無く笑う亀が 痛々しかった。 「っとりあえず、あがっ」 ガシッと、 服の袖を掴まれた。 「亀っ…!」 背伸びをした亀が、 俺の口唇に そっと口付けた。 . [次へ#] |