page9 「仁の事、忘れようとした。壁に飾ってあった写真とか、捨てようとした。…赤西って呼んだら、いつか、付き合ってた事も良い思い出になるかなって………‥っでも、やっぱり無理だったっ…」 亀の声が、震える。 「仁といた時間が、長すぎたっ…っ‥楽しすぎて、っ」 振り返ったら、 キラキラ光る雫が、 布団を握り締めている 手の甲に落ちていた。 「ぉ、れっ…仁のっこと…‥‥まっ、だ」 戸惑いなんかなかった。 ぎゅっ 「っ……じっ‥ん」 「俺もう泣かせたくないよ…ずっとずっと後悔してた。亀傷つけたこと。亀をあんなふうに笑わせたこと。亀が段々やつれてくからすげぇ不安で、すげぇ罪悪感あって、でも何もしてやれない自分が悔しくて、まわりに少し八つ当たりしてた。亀が…いいなら……また、俺だけのものにしていい?…俺、亀が好き。」 「っ……スキっ…‥仁が、好き‥…」 亀が俺の肩に顔を埋めて泣き出した。 「だから泣くなよ(笑)」 「ぅ、…ヒッ‥ぅれっしっ…ック‥なっ…だっ!」 嬉し涙。 だからいいの。 そう言った。 一億の人の中一つ 君という居場所 見つけたよ 窮屈なら 上着脱げばいい 寄り添えば そこにいるよ もう君を 離したりはしない 冷え切ってしまった 両手を 包んで 温め直そう END [*前へ] |