page2 「…もぅいいわ。っじゃな。」 そう言って屋上を出ていこうとした。 ―ギュッ 「ばっ!止めろ!!」 「動かないで…。」 後ろから抱きしめられて超焦ってたら 今までに聞いたことのない草野の声がした。 「もう少し…このまま……。」 「っ…。」 背中にある体が震えてる。 泣いてんの? 何がそんなに哀しいわけ? それは聞けない。 俺を抱きしめていた腕の力が緩む。 「修二?」 「ん?」 振り向いた瞬間 ―ちゅっ 不意打ちのキス。 「奪っちゃったなりぃ〜♪んじゃばいちゃっ♪」 いつもみたいに手ひらひらさせながら階段をおりてった。 怒りなんて湧いてこなくて、 半分呆気に取られて、 赤かった眼が、 本当に泣いていた何よりの証だと上の空で考えて、 心の奥底で トクンと云ったのは まだ秘密にしておこう。 この憂鬱も 何時まで続くのだろう。 end [*前へ] |