page9/9 「そーいや、亀の先約誰だったんだろ」 中丸が思い出したように言う。 「横尾あたり何じゃん?」 上田が興味なさげに答える。 「そーか……俺は横尾より下なんだな」 中丸が寂しそうに答えた。 ってか先約なんだから普通にそっち優先だろ。 裏から外へでるために駐車場を歩いてたら、向こうから車が入って来た。 あの車…… 車は近くの空いてたスペースに駐車して、中からドライバーが出て来た。 「あ?あれ……山Pじゃね?」 中丸が言ってほしくない単語を言った。 誰かに電話してる……。 『ごめん、先約入ってんだ。』 『迎えに来てくれるから…』 電話の相手は 多分亀だ。 胸が痛い。 苦しい。 「じゃね──‥?あっ」 電話を終えたぴぃがこっちに気付いた。 「仁っ」 「亀の先約って山Pだったんだ」 「中丸……勝ち目ないよ」 上田が中丸の肩に手を置いてため息交じりに言う。 「えっ?どうしたの?」 「いゃ、さっき亀を飯に誘ったら先約あるからぁ〜って断られて」 「そうなんだっあ!」 ぴぃが笑顔で向こうに手を振ってたから、俺達が振り返ると亀が小走りでやって来た。 「じゃあ、俺達行くわ」 「おぅ!じゃあなぁ〜」 中丸が言うと、二人はぴぃの車に乗り込んで、なんか笑顔で喋ってる。 もうなんか 飯食い行く気分じゃねぇよ… 「聖……やっぱ俺」 「ダメ。」 「は?」 「今だから余計に、やっぱ止めとく。は無し。行くぞ。」 そのまま聖が歩いていくから、ついて行くしかなかった。 . [*前へ] |