page3/9
間接照明は淡いブルーと白で統一されてて、中央には大きめの水槽。
中にいる魚が、ユラユラ揺らめきながら照明を反射させて、幻想的な世界を造り出している。
こないだ哀川翔さんに連れてきてもらったこのバー。
「女の子とか連れてきてやんな」って言われたとき、一番最初に頭に浮かんだのは亀だった。
「この人誕生日なんで、この人のイメージに合ったカクテル作ってください」
「はい、畏まりました」
そういってバーテンダーさんが作り始める。
ここは誕生日だと言うとオリジナルカクテルを作ってくれる。
亀はバーテンダーさんの手さばきをキラキラした瞳で見つめている。
グラスにそそがれたカクテルの色は
白とピンクが半分に別れていて、可愛らしいカクテルだった。
さくらんぼが最後に添えられて、スッと亀の前に差し出された。
「お待たせ致しました。お誕生日、おめでとうございます」
「うわぁ〜‥すご。ありがとうございます」
「亀おめでとう(^ー^)」
「ありがとっ」
はにかんだ笑顔をこっちに向ける。
「じゃあ、乾杯♪」
カチーン‥──と、綺麗にグラスの音が響いた。
亀が一口、ゴクッと飲む。
「なんか……甘くて美味しい」
「本当?よかった♪」
「女の子とか連れて行ったら喜びそうなのに…」
そういってチラッと俺を見る。
「ん?なに?」
「ぴぃってこんなカッコイイのになんで彼女とか出来ねーんだろなぁって。」
「ちょ、失礼だなぁ〜。よってくる女は確かにいるけどそういうの興味ねぇし。それになんか最近女に構うの疲れるなぁって」
「なんか遠回しにメチャメチャモテるって言ってるよ(笑)」
「ってか亀こそどーなのよ?ほっとかないっしょ、みんな。」
「アドレス教えてとかならよくあるけどなぁ〜。どうなんだろう?」
「俺なら……ほっとかねぇけどな。」
「え…?」
「絶対自分のモノにしたいって、思う。」
「ぅわぁ〜それスゲー執念深い女(笑)」
そうだな。なんて、笑いながら亀に言ったけど、これ本心だから、そーとー執念深いよ、俺。
なんとなく会話が途切れたとき、遠慮がちに亀が喋りだした。
.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!