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side P
電話に出てくれることを祈って電話をかけたら、電話に出てくれた。
迎えに行くと言い、車を運転して亀の仕事場へと向かう。
亀と会えると思うと、嬉しくてたまらない。
何故こんなに亀を好きになってしまったんだろう。
いや、好きだったんだ。
ずっと。
初めて会ったときから。
気付かなかっただけ。
自分の気持ちに。
車を駐車させて亀に電話をして、横から来た数名に目をやると……
「あっ仁」
中丸とか聖もいたけど、なぜだか俺の眼には、一番後ろにいる仁が最初に眼に入った。
「亀の先約って山Pだったんだ」
「中丸……勝ち目ないよ」
上田が中丸の肩に手を置いてため息交じりに言う。
「えっ?どうしたの?」
「いゃ、さっき亀を飯に誘ったら先約あるからぁ〜って断られて」
「そうなんだっあ!」
向こうから亀が小走りでやって来た。
「そんな急がなくてもよかったのに」
「あんま‥待たせたくないから」
またそう言う可愛いこと言う。
誰にでもそうなんだろうけど、良いふうに勝手に解釈しちゃうから。
「じゃあ、俺達行くわ」
「おぅ!じゃあなぁ〜」
俺達は他愛もない会話をしながら車に乗り込んだ。
チラッと仁を見たら、
すげー切ない顔して
まるで俺なんか
視界にないみたいに
亀を見つめてた。
仁は亀が好きだ。
本人から聞いたワケじゃないけど、あからさま過ぎる。
亀のCM流れただけですげー柔らかい顔してんだもん。
今だって……。
でも親友だからって譲る気はない。
それに、さっきの仁の顔を見て、少しだけ優越感を覚えた醜い自分がいた。
だからもう
好きになった以上、
後には引けない。
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